とある秋の味覚の頂き物

ユエル    「ご近所の方から高級食材を貰う…なんて事が時々あると思うッスけど…」
ヘイゼル   「ああ、あるあ…ねーよ(゚∀゚)」
ユエル    「本日、近くの身内から松茸を頂きましたッスよ!」

000
ヘイゼル   「でかっ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「これだけ大きいのは久し振りに見たッスね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「うむ…大きくてもちゃんと松茸臭いな。ダイニング中に漂ってるぞ( ; ゚Д゚)」
ユエル    「今年は暑かったし雨も降らなかったしで、松茸不作って聞いてたッスけど、最近の雨続きでぽこぽこ出てきたので、一転して豊作になったみたいッスよ? 聞きかじった所だと(゚∀゚)」
ヘイゼル   「しかし御裾分けでこれだけのサイズを貰えるって事はどんだけ取れたんだか…(;´Д`)」
ユエル    「デパート何かで松茸売ってるのを見ると首を傾げたくなるッスよね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「国産だとやたら高いしな」
ユエル    「ッスよね~。松茸なんて 山 に 生 え て る だ け ッスよね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「出たか、田舎自慢…(;´Д`)」
ユエル    「秋葉は無くてもこれで勝つるッスよ! やったー!」
ヘイゼル   「ならば何故泣く!? Σ(´Д`lll)」
ユエル    「ぐす…ポータブルゲームカフェとか羨ましくなんか無いッス…(´;ω;`)」

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PROJECT DARK(仮称) SSかよッ!

ユエル    「こんばんはッスよ~!」
ヘイゼル   「あれ? オリジナルはまだ完成してねえんじゃね?(;´Д`)」
ユエル    「TGS(東京ゲームショー)で遂にデモンズの直系となる“PROJECT DARK(仮称)”が発表されたッスよ”(゚∀゚)」
ヘイゼル   「あー、待ってたもんな、お前……」
ユエル    「で、ディザームービーを見てたら、我慢しきれずにSS書いちゃったッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「待てや! 一分弱の動画で何を理解したんだ!? どんだけのフロム脳だよ!?(;´Д`)」
ユエル    「長年鍛えられたフロム厨には何ともないぜッス!(゚∀゚)」 

身近に同胞が居ないのが口惜しいッス~!
正に誰得のSSをどうぞッスよ!

--------- 開始 ----------

色の無い濃霧が世界を覆っている。

かつて、老王オーラントが解き放った原初の猛毒はゆっくりと世界に広がり。
霧は世界を無数に溶かし拡散し、やがて世界は滅んだ。
そこには唯、色の無い濃霧だけが残された。
私はその中で在りし日を夢見たまま、ただ其処に存在している。
あの霧の裂け目を目指し、ボーレタリアにやって来たのは……一体何の為だったろう。
今となっては、もう思い出す事は出来ない。
誰かを追っていた気もする。
唯、富と名声を求めていた気もする。
世界を救いたいと言う高名な野心だった気もする。
しかし“楔”と言う枷に繋がれた私に待っていたのは繰り返される殺戮の日だけだった。
悪魔の尖兵に斃され、失った生身の肉体。
代わりに手に入れたのは楔に繋がれ死ぬ事も叶わぬ儚い幽星(アストラル)の身体。
肉体を取り戻す為には、霧を生み出すデーモンの長を斃すか、同じ様にこの世界で戦う肉体を備えた戦士から奪うしかない。
だから私は戦った。
生者を妬む不死者(イモータル)の様に肉体を供える者に襲い掛かった。
失った生身の身体を取り戻す為に、黒い欲望に身を燃やし、鬼人となって戦った。
されど、勝利する機会は少なく、敗北する事は多く……。
初めは勝つ事に執念を燃やした私だったが、何時しか勝利する事が目的ではなくなり。
唯、戦う事に悦びを見出すようになっていた。
殺して、殺されて、斬られて、斬り返す……。
命の遣り取りに明け暮れる日々。
滅亡へと向かう世界の中で、戦う事が私の悦びだった。
だが、今となってはそれは叶わぬ望み。
濃霧に支配され、終焉を迎えた世界で戦いを求める事すら叶わず―――。
私は此処で在りし日を夢見たまま、ただ存在している。

ふと―――火が見えた。
疾うに滅びた筈の世界に炎が見えた。
濃霧の中で彷徨う者を導くかのように揺らめく灯火。
訝しむ私の意識に、炎が爆ぜる微かな音色に交じり声が聞こえる。
正しくは声ではないが、意識に直接呼び掛ける声が―――。

さ……げ……。

さ……さ……よ……。

ささげよ……。

捧げよ……。

在りし日を夢見る者よ……。

汝が真に、その過去への回帰を望むのであれば……を捧げよ……。

声は次第にはっきりと理解できるようになっていく。
では、何を捧げよと言うのか?

『人間性を捧げよ―――』

人の心を捧げよと、声は言う。
人間としての質(たち)―――。
正義、勇気、誠実、友情、感謝、礼儀、思いやり、信頼、助け合い、感謝、謙虚……。
そんな物を捨て去るだけで……それだけで戻れるのか?
斯くも容易な贄と引き換えに、あの忘れられぬ戦いの日々に戻れると言うのか?
もし、本当にそれが叶うと言うのなら……。
我が身は既に外道と化し、修羅道へと堕ちたる鬼畜だ。
今更、何も躊躇う事ではない。
故に―――。

『捧げ……る』

“応えた”声に驚いた。
それは濃霧の中で頭上から、背後から、足下から、近くから、遥か遠くから……姿形は見えずとも無数の反響となって意識に届く。
ああ、待っていたのは自分だけではないのだと笑う。
こんなにも多くの同胞(はらから)も望んでいたのだ。
巨大な石積みで建てられた古城の苔むす臭い……。
赤い砂礫と高炉に解けた溶鉄の臭い……。
錆と血に塗れた拷問器具に残る鉄の臭い……
乾いた潮風が運ぶ死の臭い……。
光届かぬ谷の底で澱み腐り果てた水の臭い……。
その世界で繰り広げた、あの、戦いの日々を―――。
熱に浮かされたような狂乱の中、血の飛沫と苦悶の呻きに酔った、あの日々を―――!
信者の祈りが合唱めいた調和を生み、それを聞き届けた炎は満足したのだろうか?
やがて……炎は静かに明滅し声と共に消えて行った……。
どうやら、まだ“その時”ではないらしい。
だが、その時は何れ訪れるだろう。
だから私は待っている。
この胸を焦がし待っている。
新たな戦いをもたらし約束の地へと導いてくれる道標……。

―――あの“炎”を―――

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謝肉祭

ユエル    「時代はエコッスよね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「あ? 何だ唐突に(;´Д`)」
ユエル    「家電のエコポイントとかエコカー減税とか、政府が何かけし掛けてるっぽいッスよね?」
ヘイゼル   「まあ、何とか議定書とか、色んなとこで頑張っちゃったからな…」
ユエル    「街の中でもエコが付く文字を良く見かけるようになったッスね。一億総エコ化も近そうッス!」
ヘイゼル   「タバコの値上げも二酸化炭素対策だったりしてな(゚∀゚)」
ユエル    「エコエコアザラク、って何か凄いエコって感じッスよね!」
ヘイゼル   「そうだね、プロテインだね(゚∀゚)」
ユエル    「……ヘイゼル、仕事しろッス! 人が折角ボケてるッスのに!?(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「いちいち、お前はメンドクセエんだよ! だから今日は何が言いてえんだ!(#゚Д゚)」
ユエル    「つまり、私もエコに参加したいと言う事ッスよ! このブログを使ってなッス!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「ブログで…エコ…? ( ; ゚Д゚)」
ユエル    「HDを整理してたら出てきた、このオリジナル短編小説を使ってリサイクル更新するッスよ! このブログはエコに協力していますッス!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「ようするに、手抜きじゃねえかッ! Σ(´Д`lll)」

【謝肉祭】

 六帖一間の狭い部屋、通りに面する窓を開けると、目の前に巨大なコンクリートの建物達が天を貫くばかりにそびえている。灰色の無機質なセメントの塊は、何処か墓石を連想させるので、俺はそれが好きではなかった。
 文明の発展を進化と呼ぶならば、その進化を放棄……いや進化の系統樹から見放され、打ち捨てられた局外者の様に、そのアパートは東京と言う都市の中で、壁の中を這い回る鼠の様に、人知れず其処に存在した。
 しかしそれでも、東京という街の中に取り残された様に建っている、賃貸料の安いこのアパートは、まともに仕送りを送って貰えない、俺の様な貧乏学生にとって、すがって生きる事の出来る数少ない場所なのだ。

 ―――六月―――

 今年もまた、嫌な季節がやって来た。
 例年と同じ、鬱陶しい程の湿度と連日の雨が、空と同じ様に俺を暗澹(あんたん)とした気持ちにさせる。
 だが只一つだけ、今年は例年と違うモノがあった。
 陰鬱(いんうつ)な気分に更に追い打ちをかける、この臭気……腐った肉の臭い。
「ごめんなさい。部屋の冷蔵庫が壊れてしまって、お肉を腐らせてしまったの」
 隣の部屋の女は、そう言った。
「お肉は好きなんだけど……一度に食べられる量が少ないから、いつも余ってしまうんです」
 女の年は俺と同じ位だろうか?
 拘りが有るのか、女は何時も白いノースリーブの麻シャツと、白いロングスカートを身に着ていた。最近では珍しく、黒く艶やかな髪を背中の中程まで伸ばし、前髪は眉の下で神経質そうに綺麗に整えてある。顔は欠点が無い。良く言えば整っていると言われる部類なのだろうが、口元に薄っすらと浮かべる、どこか病んだ様な不快な笑み。
 それが―――

 『理由(ワケ)有りの女』

 俺に、その言葉を連想させた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 梅雨空に五月晴れを期待する俺の気持ちを裏切り、巷には今日も無情の雨が降る。
 起き掛けに、部屋の壁に画鋲で留めてあるカレンダーに目を移し、俺は今日が可燃ゴミの収集が有る事を思い出していた。
 先週は、うっかりと可燃ゴミを出しそびれてしまっていた。流石に、この時期に生ゴミの混ざった可燃ゴミを部屋に置いたままにするのは気が引ける。両手に半透明のゴミ袋をぶら下げ、俺は部屋を出た。
 アパートの各部屋を結ぶ、共同の廊下は老朽化が激しい。薄暗い廊下を床を軋ませながら歩いていると、丁度、隣の部屋の女が階段を登って共同廊下に差し掛かる場面に出くわした。俺が軽く会釈すると、女も挨拶を返す。女が登って来た階段側から、外の光は入ってくるが、廊下は全体的に薄暗い。逆光を受けた女の顔は影となり、何時も通りの病んだ笑みを浮かべる様は、何時も以上に俺を不快にさせた。
 女は足を止め、俺を待っている様子を見せている。流石にそれを無視して擦れ違うのは気が引け、立ち止まった俺は、女と僅かばかりの世間話をする羽目になった。
「あなたもゴミ捨てですか?」
 女が俺が両手に持っているゴミ袋に目を移し尋ねて来る。俺は肯定の返事をすると、先週ゴミを出し忘れた事を苦笑交じりに告げた。
「……そうですよね、この時期は食料品が傷みやすくて困りますよね。だから私も結局、棄てることになっちゃうんです。……お肉が余るから」
 俺の言葉に、女はクスリと声を小さく笑う。口元には病んだ笑みを湛え続けたまま。
 梅雨特有のじっとりと身体に纏わり付く様な空気の中、何時もの白い服を着た女から漂う、甘い体臭に混じる臭気……腐った……肉の臭い。
 低俗な欲も冷める程に気分が悪くなる。
 折角の見て呉れだが、隣室に居られるのは、ハッキリ言って迷惑な類の気味の悪い女だった。
 ……思えば彼女は、何時から俺の隣に住んでいたのだろう?
 俺は女の名前も知らない。女の部屋の入り口には、その存在を示す表札も無かった筈だ。
 いや違う。そもそも、俺はこのアパートに住んでいる住人の事を何も知らない。たまたま廊下で擦れ違うときに挨拶する事もあるが、俺達は他人の存在に極力、係わらない様にして生活している。助ける事も無ければ、助け合う事も無い。冷めた都会の人間関係と言ってしまえば、それまでか……。
 そそくさと女に別れを告げ、アパートの直ぐ脇にある収集所の鉄製の籠にゴミを出し終えると、傘を持たずに部屋を出ていたので、小走りに部屋に駆け戻った。
 部屋のドアを開けようとドアノブに手を掛け、ふとある事に気付き、俺は手を止めていた。
 気のせいか……。
 最近、この廊下で他の住人に擦れ違う事が無いように思える。ほの暗い共同廊下は、ヤケに静かで、まるで住んでる人間等居ないかの様だ……。

(お肉が、余るから……)

 何故か女の病んだ笑みが脳裏を掠める。
 何故、あの女が浮かぶ……俺は頭に浮かんだ女の姿を掻き消すと、部屋に戻った。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 何時果てるとも知れない、厚い灰色の雲が広がる梅雨空。
 今日も雨は止まない。
 加えて、俺を不快にさせる、肉の腐る臭いが部屋から離れない。
 部屋の窓から陰気な気分で空を眺めていた俺の耳に、部屋のドアをノックする音が聞こえる。鬱気を振り払いドアを開けると、其処には隣の部屋の女が立っていた。
「良いお肉が手に入りました。でも、一人じゃ食べきれないので……良かったら、一緒に食べませんか?」
 何時もと同じ白い服、艶やかな長い黒髪、誘うような笑みに、病んだ様な妖しさを浮かべて女は言った。女の甘い体臭に、腐った肉の臭いが織り交ざっている。

 六帖一間の狭い部屋、通りに面する窓からは、天を貫くばかりにそびえる巨大なコンクリートの塊が見える。
 当たり前の様に、雨は止まない。
 そして今日も、部屋に肉の腐る臭いがする。

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【PSU-L・O・V・E】今更なのに登場人物紹介 その壱

ユエル    「お久し振りッスよ~!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「本当になぁ…('A`)」
ユエル    「今回はPSU-L・O・V・Eに登場するキャラの自己紹介を…」
ヘイゼル   「待てや! 新規オリジナルはどうした! そして何で“しんき”と入力すると最初に“神姫”が出てくる! 更に何で今更終わった小説のキャラ紹介を!? Σ(´Д`lll)」
ユエル    「二つ目は私の知ったこっちゃないッスよ!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「スマンかった! (#゚Д゚)」
ユエル    「どういたしましたッス!(゚Д゚#) んな事はどうでも良いッスよ! …実は今、PSU-L・O・V・Eの小説を外部の投稿サイトに載せてるッスけど、SS(スクショ)の掲載が出来ないからイメージが伝わり難いッスよ…」
ヘイゼル   「それは中の人の力量不足じゃ…(;´Д`)」
ユエル    「それは言わない約束ッスよ、おとっつぁん!」
ヘイゼル   「誰が親父か!(#゚Д゚)」
ユエル    「と言う事で、あっちで出来ないなら、こっちでやれば良いじゃない! の法則でこっちでやる事にしましたッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「Σ(´Д`lll)」
ユエル    「昔の人は良い事を言ったッスよ? 『チラシの裏でやれ!』って、だから此処で(チラ裏)でやるおッス!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「誰が上手い事を言えと言った! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「それでは一見さん用登場人物紹介、はっじまるよ―――ッス!(゚∀゚)」

Photo

ヘイゼル・ディーン
種族:ヒューマン 年齢:20歳 職業:フォルテファイター
パルム出身。
ヘイゼルの瞳を持ち、どこか人を寄せ付けない雰囲気を持つ。
ガーディアンズ訓練生時代から素行の悪さ、協調性の無さから教官や同僚からは疎んじられていた。
戦技能力は本人のやる気の無さが災いしてか、中の上と高くは無い。
キャストが嫌いで、望んでガーディアンズになった訳ではなく、生きる為にガーディアンズになったと言う彼の護るべきモノは未だ見えない。

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ユエル・プロト
種族:キャスト 年齢:16~17歳に相当 職業:ウォーテクター
雨のパルムでヘイゼルが出会った記憶喪失の少女型キャスト。
記憶を失う前の自分が、ガーディアンズであったと知り、再び人々の為に働く事を決意する。
だが記憶や経験を失っている為、その実力は未知数である。

ビリー・G・フォーム
種族:ヒューマン 年齢:20歳 職業:フォルテガンナー
ガーディアンズコロニー出身。
豪奢な金髪をイカしたリーゼントに固め、付きあげたモミアゲが特徴。
女性に目が無い、お調子者の目立ちたがり。
訓練生時代に何故かヘイゼルを気に入り、行動を共にする様になった彼の悪友。
しかし、行動と外見とは裏腹に、頭の回転が速い切れ者。
訓練生時代に教官から、キャストを超えると絶賛された天才的な射撃センスの持ち主だが、本人にはあまり向上心が無い。

ユエル    「PSUだとリーゼントが再現できないため、キャラクリしてもらえない人ッスよ(゚∀゚)」
ビリー    「ちょwww泣いていいですかwww Σ(´Д`lll)」

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アリア・イサリビ
種族:ヒューマン(ニューマンとのハーフ) 年齢:18歳 職業:フォース
ニューデイズ出身。
古式ゆかしいニューデイズの様式を嫌い、父の反対を押し切って、ガーディアンズになる為と称してガーディアンズコロニーに移住する。
都会的なパルムの最新式ファッションを好む、勝気でお洒落な少女。
ある理由でヘイゼル達と知り合い、行動を共にするようになる。(勝手に付いてきたりする)
訓練生を卒業したばかりでフォースとしての力量は未熟だが、ニューマンの父より受け継いだ高い精神力を持ち、今後の活躍が期待されている

モリガン・ホプキンス
種族:ヒューマン 年齢:28歳 職業:キャスト専門医師(工業技術者)
ガーディアンズ・パルム支部でキャスト専門医を勤める傍ら、工学分野で博士号も取得している才女。
メンソールの煙草を好む、怠惰な風体の美女。
8年前、ヘイゼルがガーディアンズ養成幼年学校に居た時に、研修医として同校の保険業務に当たっていた。
当時、妖しい魅力から学生達には、『妖姫モリガン』と呼ばれていた。

ユエル    「メインじゃないのでキャラクリしてもらえ……」
モリガン   「……」
ユエル    「……ないです(゚Д゚;)」

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ジュノー
種族:パートナーマシナリー(PM) 型番:GH-450(法撃型)
ガーディアンズに支給される万能マシナリー。
炊事、洗濯、お留守番にミッションへの参加もする。
ヘイゼルは法撃支援を望み、GH-450型を選んだ。
主人に対しても割りと遠慮のない事を言うが、悪意は無いようである。

そんなこんなで内容が変わったら今後もちょくちょく変えていくッスね!(゚∀゚)

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オリジナル小説準備中!

と、言うわけでテスト中ッスよ!(゚∀゚)

今後、このカテゴリーでオリジナル小説を投下して行こうと思いますッスよ!

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-エピローグ】

ユエル    「前回の予告通り!」
ヘイゼル   「また、予告から日にち空けやがったな…」
ユエル    「話しの腰を折らないで欲しいッスよ!ヽ(`Д´)ノ」
ヘイゼル   「ヘイヘイ…」
ユエル    「エピローグがやっとこ完成したので一気に一回で片付けちゃうッスよ! エピローグ引っ張るのもどうかと思うし(゚∀゚)」
ヘイゼル   「終わる終わる詐欺もコレまでか?(゚∀゚)」
ユエル    「詐欺言うなッスよ! 本当はちゃんとした後書きも書きたいッスけど、時間的に無理ッス!」
ヘイゼル   「誰が読むんだよ…(゚∀゚)」
ユエル    「この際だし自己満足でも良いじゃないッスか!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「とか言っても仕事で2、3日掛かりそうなんだよな(゚∀゚)」
ユエル    「こんな時に限ってッス~! ヽ(`Д´)ノ」
ヘイゼル   「m9(^Д^)ザマアwwwwww」
ユエル    「取り合えず最終回を感慨も無く投下放置するッス! 以前、許可を頂き今回、キャラをお貸し頂いた“勇魚”さんに本当に感謝ッスよ! 後でお礼の連絡するッスね~!」

※この小説は、にほんブログ村で“長編小説”部門のランキングに参加中ッスよ。お気に召したら右側のバナーをポチッて下さいッスね(゚∀゚)

--------- 再開 ----------

Phantasy Star Universe-L・O・V・E 最終回

【エピローグ】

目の前にいっぱいの緋色(アカイ)光景が広がっていた。
ビル群の陰に沈みかけた真っ赤な夕陽に染められた空。
寂れた未完都市が『緋』を受け、黒い輪郭(シルエット)を幻想的に描き出す。
ヘイゼルは左肘を突き上半身を起こした。耳にはくゎんくゎんと鋼を打つ音が響いている。
ぼんやりとした頭でヘイゼルは前後不覚に陥っていた。
直前の記憶と現在(イマ)その落差が大きすぎて思考が混乱したまま状況が把握できない。
(何だ……俺は一体何を……)
簡易テントの中でヘイゼルが意識を取り戻した事に気付いたキャストの兵士が、数人の部下達との会話を切り上げ、こちらに歩み寄って来ていた。オリーブドラドに塗装された同盟軍正式軍装色装甲に身を固めたキャストである。同盟軍に所属するキャスト兵は等しく同じ武装で、その下の素顔を隠している為、個人の特定は難しいが、その男は下士官以上の身分である事を証明する章角を頭部パーツに装着していた。部隊長クラスの指揮官であるらしい。
「気付いた……ガーディ……ズ……私は……盟軍177遊撃……小隊長 フル……ン・カーツ……だ……」
簡易テントの中に入ってきたキャストの指揮官がこちらに声を掛ける。ヘイゼルはその声をどこか遠くに聞いていた。
「君……身体は……損傷を受けて……ない事から、参考人……して、ここに残って……った」
(損傷……ああ、キャストの定義か、つまりは俺が重傷を負っていないって事だな……)
ビニールかプラスチック、機械部品が焼けた強い臭いが鼻を突く。通常の生活では嗅ぐ事の無い異質な臭気。
(では、何がこの結果を引き起こした原因だ―――)
ヘイゼルはこの臭いを嗅いだ記憶がある。古くは火災の現場で、交通事故の現場で、砲火の痕が残る焼けた戦場で―――。
唐突に全ての解が像を写し、正しき記憶を呼び戻した。
「オイ! ユエルはどうしたッ!」
ヘイゼルは横たえられていた寝台の上から飛び起きると、傍まで来ていたキャストの指揮官の胸倉に掴みかかった。
「落ち着きたまえ、ガーディアンズ」
キャストの士官はヘイゼルを宥めつつ、突然の様子に色めき立ち、駆け寄ろうとしていた部下達を片手で制し引き止めた。
「ふむ……君が言う『ユエル』と言うのが何かは知らないが、我々が破壊した機動兵器の事ならばあそこにある」
ユエルを機動兵器と一緒にするなと、ヘイゼルは内心憤慨するが、その様子に気を留める事無く、キャストの士官は後ろ手に指を指し示した。其処には半分ほど原型を止めた、焼け焦げだらけの巨大な機動兵器が蹲り、薄い白煙を棚引かせている。
「あれが何を目的として造られた機動兵器なのかは解らないが、調査の結果、機体内部にキャストが搭乗……いや、融合と言った方が正しいのか……兎も角、そのキャストが機動兵器を操っていたらしい。しかし解らないのは、あれだけの機動兵器が、そのキャスト個人を動力源として稼動していた形跡がある事だ」
士官が首を捻るが、それはそうだろう。ヘイゼルもハリス博士の供述を聞き、ユエルがAフォトン・リアクターを内臓している事を知ったのだ。まともな発想の人間なら、そんな物を個人が保有しているとは考える筈も無い。
「まったく訳が解らない。君を此処に残したのは、その辺りについて君が何か情報を知っているのではないかと思ったからなのだが―――」
ヘイゼルはキャストの指揮官の言葉を途中から戯れ言と聞き流し、L・O・V・Eの残骸を食い入るように見詰めていた。
先程から耳に届いていた「くゎんくわん」と言う音は、L・O・V・Eの装甲板をハンマー等で叩く音だったのだ。
残骸と化したL・O・V・Eの上部には数人のキャスト兵が何かの作業に当たっている。重機から伸びたチェーンを操作する者、巻き上げの指示をする者の動きが見える。
「丁度今、マシナリーの搭乗者と思われる人物をサルベージしている所だ」
キャストの士官が説明する。作業リーダーらしき兵士が片手を上げると、ハンマーの音が止んだ。次いで出した合図で重機のクレーンがゆっくりと巻き上げられる。

ズルリ―――と。

残骸の中からユエルの小さな身体が引き抜かれるのをヘイゼルは見た。
両腕を固定用のチェーンで巻かれ、虜囚のような扱いをされた小さなユエルの身体。
待て……と。
ヘイゼルは己が目にした物が一瞬理解出来ずにいた。いや、理性が理解を拒んだ。
夕陽を浴びて黒々としたシルエットとなった小さな小さなユエルの身体……。
だが、それはあまりにも小さすぎた。元の身体の半分程しかない。
半狂乱と化した絶叫が紅い街並みに木霊する。
引き上げられたユエルの身体は腹部から下の半身が失われていた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

次に気が付くと、ヘイゼルは見慣れた天井を見上げていた。
短期任務に就いたヘイゼルが、パルムで借り受けたガーディアンズのマイルームの天井だ。
立て続く時間消失の感覚に戸惑いつつ半身を起こすと、首筋に走る鈍痛に顔を顰めた。
戦場の跡で変わり果てたユエルの姿を見て半狂乱になったヘイゼルは、彼女の元に駆け寄ろうと暴れだし、数人のキャスト兵に取り押さえられ、それでも抵抗を続けた事から、キャスト兵が携行する火器の銃床の底で後頭部を打たれ、気を失っている間に部屋に運び込まれたようだ。慌てて枕もとの時計を確認すると、デジタルの表示が22:43分を示していた。日付は変わっていない、8時間ほど気を失っていたようだ。
「クソったれ……舐めやがって……。ユエルは……ビリーはどうなったんだ……?」
ヘイゼルは悪態を吐きながらベッドから立ち上がり、ふら付く足取りで寝室を出ようとすると窓際のデスクに備えられたビジフォンが起動した。
「お気付きになりましたか? 機動警護班所属、ヘイゼル・ディーン」
ビジフォンのモニターに表示されたのは、桃色の髪を持つ女性キャスト、ガーディアンズの頭脳、ルウだった。だが、彼女が以前のディ・ラガン討伐ミッションで世話になった個体かは解らなかった。
「ふざけたまねしやがって……アイツ等はどうしたッ!」
コンソールに駆け寄ったヘイゼルだが、ルウはこちらの問いに答えず一方的に話しを続ける。
「貴方が関わる事となった事件は想像以上の問題を含む事例と判断致しました。寄って我々は協議の結果、情報の漏洩を防ぐ為、関係者の行動を制限する事に決定しました。この決定に従い、起動警護班所属の貴方にもガーディアンズライセンスの契約に基づき、指示に従って頂く事となりますので御了承をお願い致します」
「勝手な事をッ! ……待て、これは……!」
そこでヘイゼルは初めてその映像が録画された物だと気付いた。
(あくまで俺の問いには答えないつもりか……クソがッ!)
録画されたルウはヘイゼルの怒りも知らず、制限の内容を説明し始めた。それによると、ヘイゼルのパートナーマシナリーであるジュノーも、一時的にガーディアンズに接収されたようだ。精一杯の抵抗を試み徒労に終わったヘイゼルは、止む無く軟禁生活を受ける事にした。無理にこの部屋を脱出しても無駄だと悟ったからだ。
翌朝、ヘイゼルはまずグラールチャンネル5のニュースをチェックした。ガーディアンズネットを使用した外部へのアクセスは停止され、情報源の入手がサテライトTVかラジオしか無かったからだ。
「ハ~ァ~イ! グラールチャンネル5、レポーターのハルで~す!」
既に見慣れた放送局の『看板』となっている少女が能天気な笑顔を視聴者に向けている。
「それでは本日のニュースをピ~ィックアップ! まずは昨日のニュースの続報です。昨日、ホルテスシティ標準時刻午後2:00頃、都市機能移転先造成予定地で起きた破壊工作は、マシナリーを使ったテロ活動の見通しが高いとの見解を同盟軍警察とガーディアンズの合同捜査班が発表しました。このテロを実行したと思われる組織からの犯行声明文は出されておりませんが、同盟軍警察はパルムの都市機能を妨害する為に画策された犯行と見ており、実行組織の割り出しに努めていく方針です―――」
キャスターのハルは続けているが、それを聞いたヘイゼルはギリギリと歯噛みしていた。
「テロ……だと?」
あれがテロ等では無い事を自分は良く知っている。一人の女の妬みが巻き起こした逆恨みの犯行ではないか!
だが、その真相を知る者は、今となってはヘイゼルしかいない。もしかしたらモリガンの手からガーディアンズへ、ハリス博士が遺した資料が回っているかもしれないが、それでも事件の真相を知りたいのであれば、まず自分が尋問されるべきなのだ。だが、それは結して実行される事無く悪戯に時間だけが過ぎて行く。その時間の中でヘイゼルは眼に焼きついたユエルの最後の姿がどうしても離れない。
先天的な状態を除き、人間が事故等でその身体を腹部から断たれた状態で長く生きる事は出来ないとされている。人間の身体と精神はそんな事故に耐えられるほど頑丈には出来ていないのだ。ならばキャストはどうなのか?
人間(ヒューマン)とは違い機械で構成された肉体を持つ機械生命体(キャスト)。
だが、ヘイゼルは知った。
目の前で呆気なく逝った紅いキャストの姿が思い出される。
キャストもまた『死』ぬのだ。
ならば、あの状態でユエルは生存できたのだろうか?
(いや、生きている。ユエルはキャストなのだ! 簡単に終わる訳が無い!)
押し寄せる不安を打ち消すようにヘイゼルは信じ続けた。ユエルがキャストであると言う事実を、この時程良かったと思った事は無い。
そして日毎にTVから知る事が出来る事件の情報は少なくなり、数日が経過した頃には世間は事件の存在など忘れたように、再びどうでも良い情報を垂れ流し続けるようになっていた。しかし寝ても覚めてもヘイゼルの頭にあるのはユエルの安否だけだった。その、あまりの焦燥に気が狂いそうになり、ヘイゼルは何度も何度も部屋の壁を拳で殴りつけ自分の無力さを呪った。

そして一週間目の朝、遂に変化が起こった。
不意に来訪したガーディアンズの諜報部員と名乗る男達がヘイゼルを連れ出したのだ。
男達に連行されヘイゼルが辿り着いたのはガーディアンズのパルム支部であった。立ち入った事の無い裏手の入り口からエレベーターに乗せられ、ヘイゼルが導かれた先は豪華な木材……おそらくは人工のオーク材を使い拵えられた框を持つ両開きの扉の前だった。
支部長執務室である。てっきり査問委員会にでも掛けられる物と思っていたヘイゼルは拍子抜けすると共に愕然としていた。支部長執務室を訪れた経験は無い。いや、通常なら近付こうとするだけで警備の者に阻まれるだろう。それ程、此処はガーディアンズで活動する者にとっても縁遠い場所なのだ。
中に通されたヘイゼルは興味がなさそうな様子でチラリと室内を一瞥した。部屋は個人が使用するには広すぎる。ヘイゼルが住むマイルームより大きいだろう。床に敷かれた絨毯や、天井と床に張られた壁紙は質素ながら上質な印象を受ける。室内の最奥には執務に使用する大きな木製の机があり、そこに一人の男性が腰を下ろしていた。一目でヘイゼルはその男性の正体に気付いた。男はそれ程に名の知れた存在だった。
(オーベル・ダルガン……ガーディアンズ総裁だと!?)
驚きの余り敬礼する事すら忘れたヘイゼルを、ダルガンの脇に控え、本来この執務室を使用しているガーディアンズ・パルム支部長が嗜めた。
「いや、良い」
ダルガンは支部長をやんわり制すると、徐に立ち上がった。静かな部屋に皮張りの椅子が軋む音がする。
「さて、ヘイゼル・ディーン。君には長い事不自由な思いをさせてしまいすまないと思っている」
まず始めにダルガンはヘイゼルに軟禁生活を強いた事を詫びた。
「モリガン女医からハリス博士の供述書と資料は受け取った……。事件の当事者である君は既に承知の事だと思うが、今回の騒動は根本に前大戦の因ともなったエンドラム機関の残党が関わっている事から、情報の漏洩を防ぐ為に止む無く君を軟禁する事になった事態を理解して欲しい」
そんな御為倒しはどうでも良かった。
「ユエルは……ユエルはどうなった!」
ヘイゼルにとって知りたいのは唯一つ、それだけだ。
「……同盟軍との協議の結果、事はあくまでテロリストが仕組んだマシナリーによる無差別テロであると発表する事に決定した。市民に無用な混乱を与えないようにする為の配慮からだ」
ダルガンは質問には答えず、ヘイゼルは苛立ちを募らせた。
「そうだ、君にこれを返しておこう」
ダルガンは机の引き出しを開け中から何かを取り出した。ヘイゼルの後方に控えていたSPがダルガンに近付き、それを受け取るとヘイゼルに差し出した。それは顔写真の部分が削り取られたガーディアンズのライセンスカードだった。だが、それに記されていたIDナンバーをヘイゼルは憶えている。
(ユエルの……ライセンスカード……)
ヘイゼルは目の前が一瞬暗くなった様な錯覚を覚えた。
「そのライセンスカードを持つ者は存在しなかった……。過去においても未来においても永久にだ。意味の無い物だが君に返しておこうと思ってね」
「……」
ヘイゼルは何の事か解らず、呆けた様に暫くそのカードを見詰めていた。
塗り替えられた真実と抹消されたラインセンス……ユエルの存在。
「テメエ等……」
何かを理解したヘイゼルが怒りに燃えた双眸をダルガンに向ける。
「テメエ等の体裁の事だけ考えて、ユエルの存在を無かった事にしやがったな!? あいつを切り捨てて、それで終わりにしやがったな!?」
その時、丁度差し掛かった雲が太陽を遮り影が部屋の中を覆った。ダルガンをはじめ室内に居る支部長、SP達の顔を暗い影が覆う。ヘイゼルはガーディアンズの暗部を垣間見た気がした。
前大戦の引き金となったエンドラム機関の存在は同盟軍の恥部だ。その存在が起こした騒動となれば、再び同盟軍は市民から非難を受ける事になるだろう。それを恐れた彼等はガーディアンズと共謀し事実を隠蔽し捻じ曲げたのだ。
一人の少女の存在さえ消し去って!
「ふざけやがってぇぇぇぇえ―――ッ!」
怒りのあまり我を忘れてダルガンに飛び掛ろうとしたヘイゼルをSP達が押さえ付けた。
「離せよ! このクソッたれが―――!」
暴言を吐き暴れるが、どれだけ抵抗しようと数名の屈強な男達に取り押さえられては太刀打ちは出来ない。遂に床に組み敷かれたヘイゼルはそれでも射抜くようにダルガンを睨み付けていた。
「ガーディアンズと同盟軍からの公式発表は直に成されるだろう。君に伝えたかった事はそれだけだ」
ダルガンはヘイゼルを見下ろし冷たく告げる。話はそれで打ち切られた。ヘイゼルの疑問に答える事も、尋問さえされる事無い、一方的な断絶だった。ヘイゼルはSPに強引に連れ出され五階のエレベーターホールに放り出された。此処は作戦室や執務室と言った最重要ブロックへの分岐通路だ。数名のガーディアンズ職員が行き来している。
尋常ならざる様子で放り投げられたヘイゼルは、自分に向けられる奇異の目を受けながらノロノロと身を起こし立ち上がる。その時、庁舎内にアナウンスが流れた。
「臨時速報です。ガーディアンズと同盟軍は先日の破壊行動をテロ事件と断定。テロを実行した組織の割り出しに全力を挙げる声明を発表しました。パルム赴任中のガーディアンズ職員は団結してテロ根絶の為、協力をお願い致します。繰り返し臨時速報をお伝えします―――」
決定打が放たれた。
真なる情報が隠蔽され、公式な声明が発表された今となっては、ヘイゼル一人が異を唱えたところで最早誰も彼の言葉に耳を貸してはくれないだろう。
一連の事件は終結を迎えた。事実は歪められ、白い少女はその存在を消されて……。
(俺は……また守れなかった……)
絶望がヘイゼルの心を支配する。

「ううん、良いッスよ。私は皆と話しをするだけで楽しいッス!」
肉体的なハンデを抱え、それを理解して尚……。

「ありがとうッスよ……ヘイゼルさん」
擦れ違いケンカをしてしまった後でも……。

「私は……貴方を守れたッスよね? ヘイゼルさん……」
自らの命を賭し、ヘイゼルを庇った時も……。

次々と思い出されるユエルの顔が幾重も幾重も過ぎて行く。
どんな時だって、その少女は……笑っていた―――。

「その笑顔を守りたかった……守る筈だった! なのに守るつもりが守られて……結局、俺は……お前を……守れなかった!」
足がもつれ背中から壁にぶつかったヘイゼルは、そのままズルズルとヘタリ込み人目もはばからず泣き出した。
いつまでも、いつまでも……。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

エレベーターホールを通る者は多くは無かったが、偶然、其処を通った者は、往来で泣き出した青年と関わり合いになる事を避けて声を掛ける事はなかった。
だが、そんな中にも僅かに青年を理解してくれる者も居た。彼等もまた失った者の悲しみを知っていたのだ。だからあえて青年の悲しみに土足で踏み込もうとはしなかった。心の傷はゆっくりと時間が癒す物だから……。
しかし、世界には例外もある。青年の悲しみを理解して尚、その心に踏み込んで行こうとする、お節介にも強く優しい者達の存在だ―――。
「ヘイゼル・ディーンってのは……お前だよな?」
野太い男の声に、疲れ果て虚ろな表情のヘイゼルは反応しなかった。
「―――ID照合……。この方で間違いないようですわ」
澄んだ少女の声が続く。
「解るのか? 便利なもんだよなキャストってのはよ。まあ、そんな事よりだ……実はさっき何だかおエライさんから、これをお前に渡すように言われてな」
「お偉いさんって……我々ガーディアンズの最高責任者ですよ?」
野太い声を遮り、咎める様な口調で少女が言う。
「どうでも良いんだよ。んな事はよ」
その陽気さと二人の親密さが今のヘイゼルには疎ましい。今まで一人の時には感じなかった喪失感。心に埋まる事の無い巨大な穴がポッカリと開いてしまった感覚があるばかりだ。
「死んだのか……仲間が?」
野太い声にヘイゼルの身体がぴくりと反応する。その反応を見た男が「そうかい」と呟き溜息を吐いた。
「まあ……何だ、とにかく受け取れよ」
動く気配すらないヘイゼルの傍にしゃがみ込んだ男は、強引に何かを握らせてきた。右手にはプラスティック製カードの固い感触がある。力無い瞳がそのカードの表面に刻まれた文字を追う。
「お前さんが何に苦しんでるのかなんて俺には解らねえし、解るとは言わねえ……。だがな、お前は生き残っちまったんだ。なら、お前がしなきゃならない事は……って、オイ……」
男の言葉に耳を傾けず、ヘイゼルは勢い良く立ち上がると走り去って行った。
「慰めの言葉は……要らなかった様ですわね?」
エラシエルと呼ばれる名称を持つ若草色のパーツで全身を覆い、透き通った銀色の髪を持つ小柄なキャストの少女がクスリと微笑んだ。
「何でえ……人が折角気を回したってえのによ……」
少女とは対照的な筋肉質の巨漢、深緑色の短めな髪型に幼さを残した顔付きの男性ビーストが決まり悪そうに頭を掻いている。
「相変わらず、貴方は優しい人ですわね」
「ああん?」
優しい薄めで微笑む少女の言葉を聞き咎めビーストの男は顔を顰めた。
「強がっても無駄ですわ。私は、そんな優しい貴方だから惹かれたのですからね」
凄む男を気にも留めず少女は澄まして言うと「まったく……お前には敵わねえよ」と、男は諦めた様子で大きく息を吐く。
古来より、惚れた女に男が勝てた例は無いのだ。
そんな物語が其処にあった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ガーディアンズの庁舎内をヘイゼルは走る。
廊下の隅に備えられたゴミ箱を蹴倒し、怒鳴られても構わず走り続けた。
ヘイゼルがやって来たのはガーディアンズの医療ブロックの四階だった。尋常ならざるヘイゼルの様子に声を掛けようとする女性看護士を押し退け、彼が目指したのはモリガン女医の控え室だった。インターホンを押さずにドアロックを解除し、自動ドアが開き終わるのを待たずに強引に身体を中に滑り込ませる。
「お、慌ててやって来たな」
机上のパソコンを前に椅子に座りコーヒーカップを片手に、モリガンが意地の悪い笑みを浮かべていたがヘイゼルは気にも止めなかった。
そして、ヘイゼルは其処で探し求めていたモノを発見した。
「あ……ヘイゼルさん……」
その声を聞いただけでヘイゼルは涙が溢れそうになった。
「フンッ……やっぱり生きていやがったな……」
強がって言うが、その言葉は震えていた。今にも飛び付いて抱きしめたい感情を無理矢理堪える。コイツの前だけではそんな弱みを見せたくは無い。
「あの……その……た、ただいまッスよ……」
モリガンの傍らには、以前と変わらぬ笑顔を浮かべる白い少女が立っていた。

001

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ボディ・パーツやレッグ・パーツが以前と違う物になっていたり、髪型もピッグ・テールから完全なツインテールに変わったりはしているが、ユエルは生きていた。
いや、書類上で言うと以前のユエルは存在しない。此処に居るのは新しいガーディアンズ・ライセンスを発行され、戸籍を変えられた新しいユエル・プロトなのだ。
「今回の件はエンドラムの残党の存在を世間に出したくない同盟軍の思惑もあったが、ユエルの為でもあったのだ」
モリガンはヘイゼルに語った。
エンドラムの残党が一つだけとは思えない。それ故、彼等の目を欺く為には彼等がユエルに与えた偽の戸籍を消去し、正規の戸籍をユエルに与える必要があった。しかも、それを提案したのはダルガン総裁だと言う。
「だったら、最初から俺にそう言えば良かったじゃねえか! 回りくどい芝居打ちやがって!」
話しを聞いたヘイゼルが憤慨する。
「昔、お前に恥をかかされた事があるからなぁ……今回の件で仕返ししたかったんじゃないんだぜ?」
いつの間にか……と言うか最初から室内に居たのだが、ビリーが笑って会話に割り込んでくる。ヘイゼルはギョッとして振り返り、幽霊でも見る様な目でビリーを凝視した。
「居たのかよッ! 生きてたのかよッ! つーか、生きてんなよッ!」
「何だそのユエルちゃんと真逆の反応は! 相棒の俺が生きてちゃ悪いんだぜ!?」
「明らかに死んだ臭い演出だったじゃねえか! フラグクラッシャーですかテメエは!」
「ゴメンネ―――ッ! 意外性のある男ですから―――ッ!」
と、二人の男はぎゃあぎゃあと喚き始めた。
実際、ビリーは一命を取り留めた物の傷の具合は楽観できる物ではなかった。事実、生死の渕を彷徨い、彼が意識を取り戻したのは三日前だったのだ。致命傷の一撃を偶然懐に収めていた短銃が、文字通り『スケープ・ドール』となって防いでくれたお陰で彼は今こうして生きている。
「良かったッス……やっと戻れた気がするッスよ……」
変わらぬ二人のやり取りを見てユエルが安心した笑みを浮かべた。

002
全てが平穏な日常に戻ったかのように思える。
だが、現実のところユエル帰還までの道程は簡単ではなかった……と真剣な表情でモリガンは言う。
事前に開かれた査問会ではユエルを禁止された自我を持つマシナリーとして認識し、従来法通り廃棄処分に処すべきと言う意見を述べる査問委員も少なくなかったのだ。
「参考人として聴取された中で、私はユエルはマシナリーとして製造されたが、厳密に判断すると彼女の正体は『始祖キャスト』に近い事を説明した」
始祖キャスト……。モリガンが語る聞き慣れない単語にヘイゼルは眉根に皺を寄せた。
「独立闘争運動を起こす切っ掛けとなった、意志を持った最初のキャストの事さ。彼等は他者に隷属しない自我を持ち、意志を……『心』を得たのだ。ハリス博士の資料を基に判断すると、ユエルの自我の目覚めはそれに近い。細かい経緯は省くが、グレーゾーンにギリギリ近いところでユエルは処分を免れたと言う訳さ。弁護に尽力したダルガン総裁と同盟軍のカーツ大尉に礼を言う事だな。……それからルウにもな」
「ルウに?」
「ああ、そうだ……」
会議の席上でユエルを廃棄処分とする者達に彼女は言った。

「心がある者は、ヒトです……。ならばヒトの尊厳を無視し、それを処分すると言う事は、何人にも許される行為では有りません」

ルウはそう言い切り処分を押す者達を説き伏せたと言う。
「ルウがそんな事を……」
「少し前に似たような前例があったらしくてな……。最も、そっちはコピーキャストだったと言う話しだが……。まあ、ルウにも感謝する事だ」
モリガンは立ち上がってコーヒーを淹れ始めた。安堵の空気が流れたが、それで全ての問題が解決し大団円……と言う訳では無かった。
通常のキャストとは異なる出自のユエルの身体は、既製部品との互換が利かず、修復作業は難航を極めた。加えて内蔵されたA・フォトンリアクターと頭脳体にプログラムされた戦闘用副人格も取り除く事は出来ず、ユエルの身体はエンドラムの負の遺産を抱えたまま、モリガンの神の手によって何とかレストアされたにすぎない。
ユエルが負傷した時どうするのか……また、戦闘用の人格が何らかの理由で再び起動したらどうするのか……そして、ユエルが召喚したあの次世代SUV『L・O・V・E』の存在。同盟軍のマシナリーによって破壊されはしたが、あれは一機のみしか存在しないのか……。
様々な不安の要素は残っているとモリガンは付け加える。深刻な問題に静まる一同を前に、だが、と彼女は断言した。
「私は必ずユエルを『人』にしてみせる。食べる事の喜びを、愛する事の喜びを……お前が今まで持っていなかった人としての幸福を与えてみせる。私の腕に賭けて必ずな」
出来るのか? と問うヘイゼルの言葉にモリガンは侮るなと不敵に笑って答えた。
「やってみせるさ……私はキャストの専門医……その道では天才と呼ばれる技師なのだからな」
だから今はモリガンを信じよう、ユエルの未来は今日、此処から始まるのだ。
その幸福な一歩に水を注す事はないだろう……。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

数日後―――。

退院を果たしたビリーとヘイゼルは、パルム西地区にある歩道に立っていた。リニアライナー改札口を見下ろす歩道に繋がる階段は人気もまばらである。
「……アリアは……ニューデイズに戻ったぜ……。お前達に謝っておいてくれと言われてるぜ」
手摺に両腕を掛け遠くを眺めながらポツリとビリーが呟いた。
「……そうか……すまん……」
ヘイゼルはその傍で瞳を閉じると一瞬空を見上げて言葉少なく詫びた。
一人の女の妄執の為に犠牲になった少女。
彼女は何一つ悪くは無かったと言うのに苦を負わせてしまった。責められるべきは、彼女の気持ちに気付きながらも曖昧な態度を取り続けた自分だと言うのに……。
苦い表情を浮かべるヘイゼルの横顔を一瞬見詰めビリーは小さく溜息を吐いた。
「オレに謝ってどうするんだぜ……。人生は結果の積み重ねだ。自分が出した結果を悔いる必要はない……選んだ結果なら恥じるな、胸を張ってるんだぜ」
結末は後味が悪い物になってしまった。
だが、自分達がもう少し大人になって再び出会った時には、昔こんな事があったな、と笑い合って水に流せるようになりたいとヘイゼルは思う。
それまでは少し時間が必要だ。誰もが自分の罪を許せるようになる時間が……。
「……ナニワブシ(ハードボイルド)を気取るなよ……テメエは」
「ロックと言って欲しいんだぜ」
鼻で笑うヘイゼルに心外と言った様子でビリーはニヤリと不敵に笑い返した。
「じゃあ、俺はそろそろ失礼するんだぜ……」
暫しの無言の後、おもむろにビリーが手摺から身を離す。
「行くのか? ユエルももうじき戻ってくる。別に用事が無いんだったら一緒にどうだ……これから―――」
ヘイゼルの言葉をビリーは片手で遮った。
「止めとくぜ、二人の時間を邪魔したって恨みを買いたくはないんだぜ」
ビリーの言葉に拗ねるユエルの顔を連想し、ヘイゼルは苦笑を浮かべた。
「アイツのか?」
「違うな、お前のだよ」
「……ふざけろよッ!」
意味を理解したヘイゼルが顔を真っ赤にし肩を怒らせると、その様子を面白そうに眺めてビリーが笑った。
一通り会話のキャッチボールを楽しむとビリーは告げた。唯一言……。
「じゃあな」
「ああ、またな相棒……」
ヘイゼルもまた短く返すと、ビリーは振り返り背中を見せたまま右腕を上げ左右に振り、中央区の方角へ向けて歩き去っていく。
彼もまた、ヘイゼルと同じ様に、あの白い少女を守りたい者だった。
しかし、少女が選んだのは一人の男。
誰しもが人生と言う名の主人公であるが、他人の中で主人公となる事は容易ではない。
ビリーはユエルにとっての主人公にはなれなかった。
選ばれなかった脇役は姿を消すしかない。
選ばれた者に笑顔を向けるヒロインの嬉しそうな顔を見続ける事は出来ないから……。
だが、ヘイゼルは解っている。
何時か必ず、男が帰ってくる事を。
俺達もまた相棒(パートナー)なのだから。

ビリーがヘイゼルの元を去ってから暫くし、通りにある店舗の自動ドアが開き、中に入っていたユエルが戻ってくる。

004
「お待たせしましたッスよ~! あれ、ビリーさんは?」
ヘイゼルの元へ駆け戻って来たユエルは、其処にビリーの姿が無い事に気付き、彼の姿を探して辺りをキョロキョロと見渡していた。ヘイゼルがビリーが帰った事を伝えるとユエルは心底がっかりした表情を浮かべる。
ヘイゼルはそんなユエルの様子を見下ろしていた。彼女の頭の頂きにはフリルをあしらった白いカチューシャが飾られている。先程、立ち寄ったブティックでユエルが気に入り、ヘイゼルが買い与えた物だ。どこぞのメイドを思わせる物だが、白いパーツで構成されたユエルに似合っていた。
「あ、これ……どう……ッスかね?」
「あー……うん……似合う……んじゃねえか」
上目遣いで尋ねるユエルの視線にドキリとし、ヘイゼルはそっぽを向いて鼻の頭を掻いている。
永久不変のツンデレ・スタイルにユエルは微笑を向け、ヘイゼルの手を取りながら言った。

003
「さあ、じゃあ行くッスよ! 今日はキャス子カフェに付き合ってくれるッスよね?」
「……ああ、約束だから仕方ないな。付き合ってやるよ」
思ったよりも小さなユエルの手をそっと握り返しながらヘイゼルはぶっきら棒に呟く。
そんなヘイゼルを引っ張ってユエルが走り出す。笑顔と光溢れる街の中、人波を掻き分けて二人の姿が遠ざかって行く。

娘の幸福を願った父の願いは、今此処に成就したのだ。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ユエルは今後もガーディアンズを続けると言っている。
それが殺めてしまった者達の為に、彼女ができる精一杯の贖罪だ。
無垢な笑顔の裏に重い罪垢(ざいく)を隠し、それでもユエルは人の為に生きる事を……安易な終りではなく苦しみと罪の十字架を背負って生きる事を選択したのだ。
だからヘイゼルも誓う。
お前が人を護る為に戦うと言うのなら、今度こそ俺はお前を護って戦ってみせると。
そして共に生きていこう。

       せ     か    い
この……"Phantasy Star Universe"で―――。

《終わり》

ユエル    「最終回なのに余裕なさすぎッス!Σ(´Д`lll)」
ヘイゼル   「仕事辞めて、またニートに戻るか? (゚∀゚)」
ユエル    「そ、それも勘弁したいッス…(;´Д`) と、取り合えず夏休暇前でバタバタしちゃったので、後書きとかは休暇中に書くッスね、その後は例のオリジナル始動させるッスよ!」
ヘイゼル   「今度の完成は何年後かね?(゚∀゚)」
ユエル    「縁起の悪い事言うなッスよ! Σ(´Д`lll)」

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ユエル    「最後の更新日時を見てみたら、4月22日とかになってるッスよ(゚∀゚)」

ヘイゼル   「驚くべき体たらくだな・・・(;´Д`)」

ユエル    「自分でもビックリッスよ。もうそんなに更新してなかったッスか!? ・・・って(゚∀゚)」

ヘイゼル   「またかよwwwとか思われるな。数少ない読んでくれてる人に・・・」

ユエル    「最近、遊びすぎちゃったッスね。PSU-LOVEも残すはエピローグだけッスけど、これが結構進まないッスよ(゚∀゚)」

ヘイゼル   「自業自得なんだが、自覚があるのかないのか・・・( ´_ゝ‘)」

ユエル    「頑張って仕上げるので見捨てないで欲しいッスよ!('Д`) 計算では後、1~2回くらいで終わる予定ッス!」

ヘイゼル   「まあ期待しないで待ってみるか・・・」

ユエル    「今回はまだ生きてますよ! 的な挨拶と繋ぎ・・・ゲフンゲフン! オリジナル次回作の予告を公開しておくッスね!」

ヘイゼル   「体よく言った物だな(;´Д`)」

ユエル    「だって、こうでもして自分に発破掛けないと前に進まないッスよ! この中の人は!(゚Д゚#)」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

子供の頃、英雄になりたかった。

街を壊す巨大な敵に、世界征服を目論む邪悪な組織に、只一人で立ち向かっていった彼等のような―――。

そんな英雄(ヒーロー)になりたかった。

だけど大人に近付くにつれ気付く。

世界は悪に満ちていて、必要悪に支えられて成り立っていて……。

そこには絶対の正義は無く、不完全な秩序が人を支配し、憎まなければならない悪は現実の世界では強くて、正義はとてもちっぽけで弱い存在で……。

だから―――。

かつて英雄を夢見た者達は夢見る事を止めた。

だけど今!

この腕の中で震えている弱き存在。自分の弱さに怒り震えている存在が居て、それを守る力が自分には有って、尚且つ心に信じる正義が有るのなら……。

今は燻って、光沢の無い炭のような塊でも―――!

焚き付けろ正義の炎を!

注②クロニクル

2010年内公開予定

ヘイゼル   「2010年内……だと……?」

ユエル    「予防線もバッチリッスね(゚∀゚)」

ヘイゼル   「やる気あんのかよホントに!? Σ(´Д`lll)」

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-40】

ユエル    「祝! デモンズソウル【欧州版】発売決定ッスよ~!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「まだデモンズやってたのかよ! Σ(´Д`lll) つーか、一年以上してから発売なのか!?」
ユエル    「SCEも、まさかあんなに売れると思ってなかったから、いろいろゴタゴタがあったみたいッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「どんなよ?」
ユエル    「要約したの拾ってきたッスけど、大体こんな感じッスね(゚∀゚)」

・デモンズソウルは初回出荷分が1万5000本程度のニッチなタイトルだと思っていた
・しかし、それは25万本売れるタイトルだった(正しくは国内15万+北米28万のハーフミリオン)
・ SCEAやSCEEは、その伝統的ではないデザインと厳しい難易度のゲームが日本以外で売れるとは思わなかったため、SCEJの抵抗にも関わらず海外での販売をアトラスに任せた
・それは間違いで、ファーストパーティーのタイトルとして発売するべきだった

ユエル    「と、SCEAのエライ人が反省してたのに、何故か欧州版はバンナムがローカライズするみたいッスけどね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「SCEJの戦略めいた何かを感じるぞ・・・(;´Д`)」
ユエル    「デモンズのローカライズ権利をやるからペルソナシリーズとテイルズシリーズの続編をPS3でヨロシク!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「オイ! バカ! 止めろ! と言うか何が言いたいんだ今回!(゚Д゚#)」
ユエル    「まあ、私が言いたいのはッスね・・・欧州版ブラックファントム・エディション、カッコイ―――! 何でこれを国内で出さないッスか! 釣られて買っちゃいそうッスよ!ヽ(`Д´)ノ」
ヘイゼル   「国内版、北米版(限定)×2も買ったのに、まだ買うんかい!(゚Д゚#)」
ユエル    「私のスパイクシールド二盾流を世界に知らしめるッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「浪漫武器じゃねえかッ! つーか、ACでもロケラン使ったり、モンハンではガンランス使ってたな、お前は!」
ユエル    「勝つ事よりも、別の何かを追求してるッスね。求道者として!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「対人で勝てないから、そっちに逃げたんじゃねえのか!(゚Д゚#)」
ユエル    「・・・と、まあ前置きはさて置いてッスね・・・」
ヘイゼル   「前置き長げえだろッ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「今回の小説は、アニメ『コードギアス』の劇中挿入歌『Stories』を脳内再生しながら読んで見るのをオススメするッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「うわ・・・イテエ・・・(;´Д`)」
ユエル    「痛い言うなッスよ!(#゚Д゚) それじゃ、どうぞッスね!」

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--------- 再開 ----------

【L・O・V・E】 Scene-11 『Stories』②

遠くから白い少女の名を叫ぶ相棒の声が聞こえる。
コンクリート塀に背を預け、座り込んだビリーは、その声に釣られうっすらと瞳を開けた。
「そうだ、叫び続けるんだぜ……たとえ無駄に思えたとしてもだ。耳を塞いで聞こえない振りをしててもな、良い言葉ってのは……」
ビリーの腹部から流れ続ける紅い血潮。彼自身の生命の証。心臓が鼓動を刻む度、身体からそれが失われて行く。視界も霞んできていた。それでもビリーは不敵に素敵に大胆に笑って見せる。何時だって彼の人生はロックなのだから。
「心には……届いているもんだ……ぜ」
小さく呟き、ビリーの頭が力なく落ちた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

舗装道路を全速力で後退する一体のガードマシナリーを追って、区画を仕切る隔壁をぶち破り、追跡者となったL・O・V・Eの巨体が飛び散るコンクリートの瓦礫の中から猛然と姿を現す。
ガードマシナリーが保有するロケット弾も、フォトンビームもL・O・V・Eには効果が無い。応援要請のシグナルは既に発信済みだ。今、その身に出来るのはL・O・V・Eから逃げ切り、派遣されてくるであろう増援部隊と合流する事だが、L・O・V・Eはそんな都合を許しはしなかった。
L・O・V・Eの巨大な右拳を、腕部からせり上がって来たガードパーツが覆う。破砕(ハード・ターゲット)用大型鋼拳"デストロイ・ハンマー"が振り上げられた。効果は無いと知りつつもガードマシナリーがフォトンビーム弾を発射する。その射撃を無視して巨大な鉄塊が振り下ろされ、ガードマシナリーの胴体部がアスファルトの間でひしゃげる。四脚が地面に突っ伏する様に地面に×字を描く。L・O・V・Eが右手を持ち上げると、ガードマシナリーの胴体部は鋼拳の痕を残し綺麗に陥没していた。それでも職務に忠実な忠機は指示を全うするべく、壊れた四肢を動かそうとする。そこへL・O・V・Eの止めの一撃が放たれた。轟音と共に炸薬が炸裂し、巨大な薬莢が薬室より排出、同時に左腕部外側に装備された突貫杭(ストライカー・パイル)が射出され、ガードマシナリーの胴体部を貫く。×字型に伸びた脚部が痙攣したように一度大きく跳ね上がり、胴体部が爆発を起こした。燃え上がる炎の中でガードマシナリーの残骸が力無く崩れていく。

(燃える……燃えて往く……また……)

白い少女はぼんやりとその光景を見詰めていた。
だが、彼女に視えているのは違う光景、重なった幻影(マボロシ)、過去の記憶。
黒煙に覆われた夜空、崩れ落ちた瓦礫の山、おびただしい血の跡、沢山の死体、それを覆うアカイ炎―――。

(ああ、私はまた夢を見ているッスね……)

少女はその悪夢に絶望し嘆く。
そこから一刻も早く離れたいのだが、急いでいるのに己が脚は一向に願いを聞き入れず、その歩みはタールの海を渡る様にもどかしい。まるで意識の有る夢の中を彷徨い歩いているかの様だ。やがて夢現の中で自分の名を呼ぶ声が聞こえて来た。それは懐かしくも慕わしい人の声。
だけど、私はそれからも逃げようとしている。
(逃げる……? そうか私は逃げているッスね……)
不意に、白い少女は気付いた。その瞬間、今まで身体を動かしていた、もう一人の自分が小さくなって行く。この状況に自分自身を置き去りにして消えて行く。無責任な……と、少女は崩れそうな苦笑いを浮かべ観念した。
どの道、逃げられない。緋色の光景が、この罪から逃がしてくれないのだ。
ならば私は裁かれなければならない……咎の報いを受ける為に―――。

Judex ergo cum sedebit,
(かくて裁き手の座したもう時)

quidquid latet, apparebit:
(隠れたる事全て現れ)

Nil inultum remanebit.
(報いられざる事、一つとしてなからん)

Quid sum miser tunc dicturus?
(……その時、私は何を弁明すれば良いのでしょう?)

Quem patronum rogaturus?
(誰に弁解の賛同を得れば良いのでしょう?)

Cum vix justus sit securus.
(正しき者ですら畏れ脅える、その瞬間に……)

何時の間にかL・O・V・Eの脚は止まっていた。だが結果として、そのお陰でヘイゼルは追いつく事が出来た。
ヘイゼルは立ち止まり肩で息を切らす。自分とL・O・V・Eでは身体の縮尺(スケール)と機動力が違うのだ。これ以上の追跡(チェイス)は正直骨が折れる。
「ハァ……ハァ……ユ……ユエ……ルッ!」
ヘイゼルは荒い息の間から少女の名を呼び掛ける。返事が返って来る事を期待していた訳ではない……が、妙に拍子抜ける程、あっさりとユエルの声が反応した。
「来ないで……下さいッス……ヘイゼルさん……わた……しは……私が……」
声は届いた……。正気を取り戻したか! 安堵するヘイゼルの耳に、深い絶望を纏った声が弱弱しく響く。
「私が……皆を殺してしまったッスよ……」
その言葉の意味を悟り、ヘイゼルは絶句する。背筋を電撃にも似た痺れが走り、顔から血の気が引いた。
(戻っているのか……記憶が!?)
ヘイゼルは動揺していた。ハリス博士とヴィエラは言っていた。結果として生みの親を殺してしまったユエルの記憶を封じたと。それは彼女の罪と咎と悲嘆にくれた絶望の記憶だ……。それを思い出していると言うのか!?

『そう、殺したのよ―――』

と、ユエルの封じられた記憶が冷酷に告げている。
優しかった研究者達を……そして今、ヴィエラを……憐れな自分の妹を……私が、この手で!
緋色の視界の中に散乱する研究員達の屍が、ズタズタに引き裂かれたヴィエラの姿が、消えない罪の現実が、思い出した記憶と共に焼き付いている。
ユエルが視線を落とし、変わり果てた自分の右手を見詰めた。
金属が軋み、ジョイントが可動する、音。
複合合金で構成された無骨な4本のマニュピレーター……今の自分の拳は凶暴な鉄塊だ。
思い出す。忘れようとしていた光景を……。記憶が重なる。ラフォン草原で斬殺されたディ・ラガンを前に、真っ赤な血に濡れたこの手を、ユエルは確かに見ていた。あれは悪い夢の続きだと思っていた。だが……これが現実。

『SEED殲滅戦用次世代SUV』

そうだ、それが自分の本当の姿だ。獰猛な殺戮マシーンなのだ。その本性が―――。
「殺してしまったッスよ……」
もう一度、絶望にくれた少女が泣きそうな声で呟く。
「それは、お前のせいなんかじゃないだろう!」
巨大なL・O・V・Eの足元に駆け寄ったヘイゼルが優しく、だが力強く諭す。
ヴィエラは言っていた。デュアルブート・システム……。一つの頭脳体の中にある二つの心(ペルソナ)。ユエルの頭の中には、もう一つの戦闘用副人格が在る事を。
「全てはお前の中のにある、戦闘用人格(そいつ)の仕業じゃねえか!」
と、ヘイゼルは言う。……が。

でも……でも……!

「でも、私は覚えているッスよ! あの炎の熱さを……血と肉の焦げる臭いを!」
L・O・V・Eが巨大な拳で頭部を抱え身を捩らせる。ヘイゼルが与えた希望の答えをユエルは否定した。
忘れられなかった……忘れたままでいたかった……忘れさせて欲しかった……憶えている光景がある。
黒煙を上げる研究所、崩れ落ちた瓦礫の山、おびただしい血の跡、沢山の死体、それを覆うアカイ炎。
目を閉じても消えない緋色……それはヴィエラと同じ色。
その色が、炎と血と深い闇の色が、あの夜の光景が今も脳裏から離れない。
だから、犯した罪からは逃げられない……逃げて良い筈が無い。

だが、それでも―――!

「お前は、生きていて欲しいと願われて生き延びたんだ!」
聞き分けの無い駄々っ子に言い聞かせるようにヘイゼルは力の限り叫んだ。
すまない、すまないと男は詫びた。何度も何度も繰り返し詫び続けた。残酷な結末に放心するユエルを研究所から連れ出した男は、戦う為の目的で彼女を生み出した事を詫び続けた。
ユエルの生みの親、ハリス・ラブワード博士。
彼はユエルの忌まわしい記憶を封じ、自分の死期を無視しても尚、彼女を逃がしたのだ。
血生臭い戦場から、平和な日常へと―――。

『お前は娘の代わりじゃない……もう一人の大事な、大事な私の娘……。願わくば次に君が目覚めた時には……幸福な未来が待っているように……』

記憶を操作される直前、落ち掛けた(シャットダウン)意識の中、ユエルの耳に聞こえた博士の最後の言葉。
恨む事も、責める事も無く、博士はユエルの未来を望んだ。戦機として生まれた機械に、人として生きるよう望んだのだ。
人知れぬ暗闇の中で温かい何かが……涙がユエルの頬を伝っていた。
だけど私は答えが欲しい……儚い声が問う。
「私は……私は……生きていて……良いッスか? 皆を殺してしまった私が……人殺しの機械(マシーン)が……生きていても良いッスか?」
恐る恐ると小さな声が問い掛ける。
それは懇願であり、縋りたい希望。肉親殺しの大罪を背負う、許されざる者の身でも、叶うなら望みたい、唯一つの小さな願い。
「生きろよ! その願いを誰に止められる!? 誰が否定しようと関係ない。自分が思うように、したいように生きれば良いじゃねえか! たとえ誰が何を言おうと、俺がお前を守―――!」
言い掛けて、漸くヘイゼルは気付いた。唐突に以前聞いたダルガンの言葉が頭を過ぎる。

『ヘイゼル、君の"守るべきもの"は……見つかったのか?』

守るものは無いと、ヘイゼルは答えた。
大義無き、落ちこぼれのガーディアンズである俺には、世界を護るとか、そんな大それた英雄じみた事は出来ない。
そう思っていた。
力の無い自分には、自分の為に守りたいもの位しか守れない。
それが自分の実力だから……。
だが、それでも良い。
そうだ、俺は唯一人、お前を護る為の守護者(ガーディアン)だ。
それだけで良い。
「なんだ、俺にも守りたいものはあったじゃねえか……」
小声で呟いたヘイゼルの口元に笑みが浮かんでいた。遅すぎた理解に対する自嘲めいた苦笑。
「お前を襲う不幸から、お前を責める悪夢から、お前を認めない世界から、何時だって、どんな時だって、必ず守ってやる。俺はお前と生きていきたい。明るい明日をお前と二人で見て生きたいんだ。だから、一緒に生きようユエル……」
それが『守るべきもの』を得た、ヘイゼルの素直な心からの言葉だった。
「あぁ……ヘイゼルさん……」
感極まり、涙声のユエルの言葉がL・O・V・Eの外部スピーカーを介して聞こえる。
傍から見ると些かシュールな光景だが、ヘイゼルと巨大な戦機は見詰め合っていた。
だが、唐突に聞こえた無粋なスキール音が二人の時間(とき)を現実に引き戻す。
振り返ったヘイゼルの視界に、砲台を備えた多脚マシナリーの姿が飛び込む。先程までの都市警備のマシナリーでは無い。軍用の戦闘マシナリーだ。それも一機や二機ではない。小隊規模の数だ。
(同盟軍のマシナリーだと!? 増援を呼んでやがったのかよ! 空気読めよ、クソッたれが!)
舌打ちするヘイゼルを差し置き、集まったガードマシナリーは交互三列になって、L・O・V・Eに対しを陣形を整えた。双方の距離は約30m、フォトン・メーサー砲を有する胴体部の両側には、おそらく4連装のランチ・ポッドを収めている2つのコンテナが―――。
(不味い!)
ヘイゼルの顔から血の気が引く。
先程まで交戦していた都市警備用ガードマシナリーが所有していたロケット弾とは質が違う。軍用マシナリーが持つ、軍事作戦用の強力なロケット砲だ。そんな物を連射されたら、如何に優れたシールドラインでも防げない。その負荷許容量を超えるダメージを軽減する事は出来ないのだ。単体の攻撃力ではL・O・V・Eのシールドを破れない事を知ったガードマシナリーは、物量を持ってしてL・O・V・Eを完全破壊するつもりなのだ!

『圧倒的なスペックの差を物量で押し切られたその時、姉さんはホルテスシティを震撼させた悪魔の兵器として破壊されるのよ!』

破滅を望んだヴィエラの言葉が頭を過ぎる。彼女が死を賭して結んだ呪い。その呪詛が成就されると言うのか。
コンテナの正面を覆う保護装甲が展開し、ランチャーの発射管が覗く。
そんな事を……させてたまるかッ!
「止めろ―――ッ!」
ヘイゼルは両腕を広げ、L・O・V・Eの前に立ちはだかった。
『守る』という誓い、それを果たさなければならない。あの時……八年前の自分にはそれが出来なかった。父も母も守れなかった……力の無い自分が許せなかった。だから代わりに世界を呪い、キャストを憎んだのだ。
だが、今は違う! 壊れて逝く父を、疲れて逝く母を救えなかった、あの頃の自分とは違う!
『守る! その力が今の俺には有る!』
ガーディアンズとして過ごした時間、それは無駄ではなかった。身に付けた技術と技能、それは今この時の為に……守るべき者の為に培って来たのだから!
「全弾撃ち落してやる!」
ヘイゼルは広げた両手にナノトランサーから、フォトンの刃を射出する飛刃剣(スライサー)ヨウメイ社製のヒケンと、片手銃(ハンドガン)GRM社製のパイソンを転送した。マシナリーがロケット砲を一斉発射する。ヘイゼルは発射されたロケット弾目掛けて飛刃剣からチッキキョレンジンを射出、パイソンを掃射し弾幕を張る。チッキキョレンジンは飛刃剣のリアクター出力を最大値に引き上げ、フォトン刃を撃ち出すフォトンアーツだ。射出されたフォトン刃は広角で貫通性が高く、横軸への攻撃性能が高い。フォトン刃と光弾に貫かれたロケット弾が爆発し、その爆発に巻き込まれ隣接して発射されていたロケット弾を誘爆する。だが、その一度で攻撃が終わった訳ではなかった。先制を放ったマシナリーが後退し、後列のマシナリーが前進する。並列を変えたマシナリーが再びロケット砲の射撃体勢に入った。
「チィッ!」
ヘイゼルは舌打ちしながら武器を振るい弾丸を放ち攻撃を続ける。今、この手を休める訳には往かないのだ! だが、マシナリーの攻撃も止む事はない。ロケット弾全てを迎撃する事は物理的に不可能なのが現実だ。遂に弾幕をすり抜けて、ロケット弾が迫る。攻撃の手が多すぎる。防ぎきれない!
(守れないのか、俺には……? 俺の力じゃ、たった一つの大事なものさえ守れないって言うのか!?)
「クソッたれがあああああああ―――ッ!」
口汚く罵ったヘイゼルの頭上を不意に黒い影が過ぎた。次の瞬間、地響きと共に巨大な影がヘイゼルの前に立ちはだかる。その巨大な影はL・O・V・E……ユエルがヘイゼルを庇うように立ちはだかった。
「ユエル!?」
一瞬、攻撃の手を止めたヘイゼルが驚いてL・O・V・Eを見上げる。迷い無く、優しい小さなユエルの声がヘイゼルの耳に届いた。
「有り難う、ヘイゼルさん……私にはその気持ちだけで充分ッスよ……」
罪深き私に、それでも生きて良いと言ってくれた。
その瞬間、彼女の小さな願いは叶えられたのだ。
それだけで満足だった。
自分は誰かに……他でもない貴方に必要とされたのだ。
「おいッ! 止め―――ッ!」
悲鳴の様なヘイゼルの叫びがユエルの耳に届く。
その悲痛な声に心は痛むが、それでも清清しい気持ちでユエルは迫るロケット弾の群れを見つめていた。
「多くの命を殺めてしまった私ッスけど……けれども、最後にガーディアンズとして……人として……」
着弾し爆発を起こすロケット弾の破壊力は、シールドラインの許容量を超え、遂にシールドエフェクトが破片となって飛び散る。それを待っていたかの様に、獰猛な砲弾の群れがL・O・V・Eの身体に牙を突き立てた。装甲がひしゃげ、フレームは歪み、爆散したパーツが乱れ飛ぶ。
激しい爆音の中、それでもユエルの小さな呟きがヘイゼルにはハッキリと聞こえていた。
「私は……貴方を守れたッスよね? ヘイゼルさん……」
夢見るような口調でユエルは呟く。
この行動が贖罪になるとは思っていない。共に生きようと言った貴方の言葉にも従えない。しかし、それでもユエルは満足だった。

貴方が生きている事、それが私が生きた証―――。

誇らしそうに、嬉しそうに問うたユエルの言葉に、応えんとしたヘイゼルの怒声は爆音に掻き消された。
衝撃が『ユエル』であった物を壊していく。
だが、もう音も聞こえない。色調も解らない。
灰色のノイズに覆われた視界が、ゆっくりと閉じられようと(フェードアウト)している。
それが終焉(さいご)の筈なのに怖くは無かった。
むしろ少女の口元には柔らかな微笑が浮かんでいる。

(だってほら、私の心はこんなにも満ち足りているのだから……)

満ち足りて逝ける者は少ない。だからこそ思う。自分は幸福だったのだろうと。
その幸福に包まれたまま、爆発が無慈悲に世界を壊し、全てを収束する暗闇の中に落としていった。

…………。

……。

《続く》

ユエル    「挿SSも無しって、今回は手抜きッスか? (゚∀゚)」
ヘイゼル   「そう言う事を言っちゃ駄目! Σ(´Д`lll)」

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-39】

今年は本気で本気出します!

ヘイゼル   「……って言ってから、もう4月だよな(゚∀゚)」
ユエル    「……ッスよねぇ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「1月中に、この小説も終わらせるって言ってたような気もするがな(゚∀゚)」
ユエル    「まあ半ば予感も的中した形ッスよね。元々それが出来るなら、今まで延々と燻ってないワケッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「とりあえず煽っておこうぜwwwwwww」
ユエル    「m9(^Д^)ぷぎゃ―――! ッス!」

うっ……お正月に誓った宣告を光の速さで破ってしまいました('Д`)
なので今年もスローペースで行く方針に転換ですよ(゚∀゚)

ヘイゼル   「コイツ、居直りやがったぞ!(#゚Д゚)」
ユエル    「いや、いろいろと解ってた事ッスよ(゚∀゚)」

あんあり長い事更新していなかったので、小説の中身を忘れられてるかもしれませんが
とりあえず、本編はクライマックスに突入です!
残りもう少しお付き合い下さい。

ユエル    「長いもう少しになるッスけどね。絶対(゚∀゚)」

 Σ(´Д`lll)

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--------- 再開 ----------

【L・O・V・E】 Scene-10 『Stories』①

微睡(まどろみ)の中で見ていた物は、夢の続きだと理解していた。
その中で私の大切な人は戦っている。
明らかに自分より強い緋色の女性に何度も、何度も、挑み続けていた。
しかし、力量の差は明確だ。
油断を突いたのだろうが、力及ばず一転して危機に追い込まれている。
(助けないと―――)
そう思うが、彼との距離は遠すぎる……。
危機に晒された彼の姿が認識できる(見える)のに、私のこの手はあの人の元まで届かないのだ。

『いいえ……届くわよ?』

頭の中で声がした。
それは紛う事無く私の声……。
そう……そうだ……私のこの手は、彼の元へ……その戦場まで届く筈なのだから―――。
私は思い切って右手を伸ばす……この想いが彼に届くようにと祈りながら……。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

(殺られる―――!?)
弾かれた剣に詰められた間合い。半狂乱のヴィエラが振るう剣をヘイゼルは避けきれないと悟っていた。
だが、勝敗が付く寸前の二人を突然の衝撃が襲う。ヘイゼルの目の前でヴィエラの身体が爆ぜ、玩具の人形のように中を舞い、自身の身体も衝撃波で吹き飛ぶ。薙ぎ飛ばされたヘイゼルの耳に、僅かに遅れて轟音と化した何かの掃射音が届いた。
地面に背中を強かに打ちつけられ、一瞬何が起こったのかヘイゼルは理解する事が出来なかった。
「く……な……何が……?」
衝撃で巻き起こった砂塵が辺りを覆っている。投げ出された身体を起こしながら、ヘイゼルが辺りを見回と、かなり離れた区画でL・O・V・Eが右肩の重機関砲、ヘーゲル・パニッシャーの砲口をこちらに向けていた。L・O・V・Eはマシナリー群との戦闘を続けている筈だ。
(誤射……? いや……)
茫然自失としているように見えるL・O・V・Eを連装フォトン・ビームが襲う。しかし、それらは全て、L・O・V・Eの堅固なシールドラインに阻まれ、その装甲に傷一つ付ける事は出来ていない。
L・O・V・Eと都市警備マシナリーの戦闘は今だ継続中だ。ヘーゲル・パニッシャーの砲身を折り畳み格納したL・O・V・Eは、平地高速移動用脚部ホイールで機体を旋回させ、マシナリーを追って再び殲滅行動を開始する。
「ユ……ユエ―――」
その後を追おうとしたヘイゼルだが、思い直し足を止める。愁いの種はまだ残されたまま、それを放置して追う訳には行かないのだ。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

束の間、途絶していた意識が回復すると、すぐにヴィエラ自身を見舞った損害の報告が頭脳体を駆け巡った。だが、データにノイズが多く処理は思うように進まない。ダメージは相当深刻なようであった。
ナノトランサー内に収納されたA・フォトンリアクターから、エネルギーを汲み出す次元転移回路(AFエネルギー・バイパス)が断絶、通常のフォトンリアクターも損傷し、エネルギーの供給が不可能となっている。フォトンエネルギーはキャストが稼動するのに必要な、人間で言えば血液のような物だ。供給が停止すれば、頭脳体や身体の各部にエネルギーが行き届かなくなり、キャストは生命活動を維持できなくなる。

それは詰まる所、生物学上の『死』と同義だ。

第三者の介入によって齎された結末に困惑しつつも、ヘイゼルは地面に横たわったままのヴィエラを見下ろしていた。

001

L・O・V・Eが放ったヘーゲル・パニッシャーの砲弾は、いとも容易くヴィエラのシールドラインを撃ち貫き、彼女の身体をボロ雑巾のように弄んでいた。直撃を受けたヴィエラのダメージは深刻である。砲弾の一発は胸部を貫通し、拳大の風穴を開けていた。左脚は太ももの部分から千切れ、右腕は肘を砕かれ人工皮膚一枚で繋がっている状態だ。そして、何より致命的なのは頭部の削痕だ。砕けた側頭部から内部が露出し、損傷した頭脳体が覗いている。人ならば即死であったろう。だが如何にキャストが"人"とは違うと言っても、ヴィエラが戦闘を継続出来るか否かは明白。
ヘイゼルは、ヴィエラは、理解した。

雌雄は決したのだと。

データが、状況が、何よりも動かぬ己の身体が敗北を告げている。
心の隙を突かれ自分を見失っていたヴィエラは、奇しくも自らを襲った凶弾により本来の冷静さを取り戻していた。
(負けたの……私は……)
ヴィエラは妙に落ち着いた気持ちで導き出した結論を受け入れていた。
いとも容易く、呆気なく、塵積もった妄執が、憎悪が、全てが潰えようとしている。
(だけど、それも良いわ……所詮は誰からも必要とされなかった命……。いえ、生命(イノチ)ですらなかったわね……私達は……。だから、もうどうでも良い……終焉こそ、私が望んだ結末なのだから……)
裂けたヴィエラの口元に自嘲めいた笑みが浮かんでいる。
勝ち負け等どうでも良かった。妬ましかった……羨ましかった……。調整用寝台に括られ見続けた、姉さんのあの笑顔を滅茶苦茶にしてやりたかった。そして、その果てに自分自身も壊してしまいたかったのだ。
姉さんの最後を見届ける事と、彼女が恋する男を道連れに出来なかった事は心残りだが、それもどうでも良い。
ユエルの破滅と自らの破滅……。嫉妬と憤怒と憎悪の果てに辿り着いた絶望だ。終われるのならばそれで良い。悔いはなど無い筈なのだ。
僅かに動かした頭部からはらりと何かが落ちた。ヴィエラの視線が力無くそれを追う。バラバラになった白い花の髪飾り。それは自分の動揺を誘い、勝敗を決する一因となった物であった。

002

『愛されていたんじゃないのか……お前も!?』

今一度、ヘイゼルの言葉が頭の中で再生される。同時に脳裏にある記憶が甦った。
漆黒の夜の闇に広がる黒い煙、そして紅い炎……それはユエルが、そしてヴィエラが忘れる事の出来無い、あの夜の光景だ。
ヴィエラを庇いSEED生命体の攻撃を受け若い研究員は倒れた。それを見て頭脳体が沸騰しそうな感覚を覚えたヴィエラは、気が付くと研究員を襲ったSEEDを八つ裂きにしていた。
そう、彼女に有るのは、自らの敵を憎み破壊する事に特化した感情だけ……だが、その時憎しみと怒りを生んだ感覚は何時もと何かが違っていた。
自らの作った血溜まりに横たわる青年の元に跪き、土気色になって行く顔を覗き込むと、彼は血に濡れた右手を伸ばし、ヴィエラの頬にそっと手を触れた。ひびの入った眼鏡の奥で優しい瞳が力無く揺れている。

『―――ああ、その花飾り……やっぱり君に良く似合っているね……』

研究員の口元に浮かんだ優しい笑顔。そこには未練も執着も無かった。有ったのは、遣り遂げた者だけが持つ、満足さと安堵だった。
ヴィエラの頬から彼の右手が、するりと力なく滑り落ちる。今際の際……ああ、そうだった……。あの時、自分を守った研究員は確かにそう言い残した。
似合う、と……。
折角、彼がそう言ってくれたのに……壊してしまった髪飾り。何時も傍に居た……傍に居てくれた……彼からの贈り物だったのに……。
(私は……)
どうして今更……何故、あの時気付けなかったのだろう……。
身体に経験した事の無い『痛み』が走る。
人の思考は脳がする物だ。人であろうとキャストであろうとそれは変わらない。なのに何故だろう? 今痛んでいるのは、この胸の中だ。こんなにも切なく、苦しい痛みなのに、その理由がヴィエラには解らない。何時の間にかヴィエラの瞳から涙がこぼれていた。
(私も……)
「―――」
ヴィエラの唇が僅かに震えたが、彼女の最後の言葉は聞こえなかった。故に彼女が最後に何を言おうとしたのか……それは誰にも解る事は無い。ヘイゼルは活動を停止した彼女の姿を複雑な気持ちで見下ろしていた。
「愛を理解しない者が、愛された者に嫉妬なんかするもんか……。解ってたんだよ。お前だって愛ってのが何なのか……」
自らが執心したように、只の機械ならば、初めからそんな感情など抱かなかった筈だ。
感情が、人としての心があったからこそ、彼女はユエルに嫉妬したのではないのか。例えそれが理不尽な物だったとしても―――。
「皆不器用だったんだ……」
ヘイゼルの脳裏に人影が浮かび過ぎていく。

不器用に娘を愛した、ハリス・ラブワード博士。

ヴィエラに自らの愛を伝える事が出来ず、髪飾りを贈った不器用な若い研究員。

愛されなかったと思い込み、不器用な愛に飢えたヴィエラ。

「そして……俺も……か」
心根にある物に従えず、素直に生きる事が出来ない、不器用な自分。
ヘイゼルは瞳を閉じ、呟いた唇を噛み締める。
ヴィエラの活動停止により、ヘイゼルは初めてキャストの死と言う物を見た。
有機体である人とは違い、死に難い身体を持つ筈のキャストの死……。彼等も不死ではないのだ。それはユエルも例外では無い。ユエルの死と言う事実に対し湧き上がる胸の中の焦燥。
「お前を失うという事に対する、この落ち着かない気分……ああ、解ってる。お前は俺にとって特別な何かなんだろう……」

だから―――!

ヘイゼルはヴィエラの遺体に背を向け歩き出した……ユエルを救いに行く為に。
硝煙と炎の匂いが漂う戦場に一陣の風が通り過ぎた。
(命を掛けて機械を守ってどうなるの? 価値の無い物を守る事に意味はあるの?)
ふと、その中にヴィエラの声を聞いた気がした。振り返るがヴィエラは完全に機能を停止している。幻聴だったか……だがヘイゼルは幻に答えていた。
「守れる……。価値があるから、無いとか、そんな事は関係ない」
共に暮らした、この惑星(パルム)で……。
共に歩いた街の通りで……。
共に過ごした部屋の中で……。
記憶の中に有る彼女の顔は、いつも笑っている。
俺達が出会って過ごしたのは僅かな時間でしかないかもしれない。それでも間違い無く、これだけは断言出来る!
「あの笑顔を……失ってたまるかよッ!」
ヘイゼルは駆け出し叫んでいた。
「ユエル! テメエ、いい加減に目を覚ましやがれッ!」
解っている……確信に近い自信があった。ユエルは自分の意識を取り戻し始めている。あれ程、ドンピシャリのタイミングで流れ弾が飛んで来る筈が無い。だとすればそうだ! あの瞬間、お前は俺を守ろうとしたんだろう、ユエル!?

《続く》

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-38】

ヘイゼル   「皆さん」
ユエル    「明けましておめでとうッスよ~!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「何だかんだやってる内に2009年も終わって、2010年になっちまったなあ…」
ユエル    「更新が一ヶ月に一回ってどう言う事ッスかね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「2010年から本気出すって言ってたぞ…(;´Д`)」
ユエル    「悪い奴は皆、そう言うッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「ま、まあ作者は頑張るって言ってるし、長い目で見てやろうぜ!」
ユエル    「ながーく、見てる内に、また一年が過ぎると思うッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「いちいち茶化すなよ!(゚Д゚#)」

そんな訳で、今年こそ頑張ろうと思います(;´Д`)
目指すは、一月中に【PSU-L・O・V・E】の完結、そしてオリジナルの新作の連載です!(゚∀゚)
今年は本気で本気出します!

ユエル    「あー、ハイハイッスよ(゚∀゚)」

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--------- 再開 ----------

【L・O・V・E】 Scene-09 『Red Ring of Death』

左肩部メイン・フォトンブースター大破……激突時、シールドライン相殺ダメージ、キャパシティ(許容量)オーバー……透過ダメージによる本体損傷、稼働率93%に低下……。
「何て事……たかだかヒューマン二人を相手に、この無様……」
積み重ねられた擁壁用コンクリートブロックに派手に破壊し、その破片にまみれ横たわりながら、頭脳体を駆け巡る損害のメッセージにヴィエラは思わず呟いていた。
「フン……頼りのブースターを失って大幅な戦力低下って事か?」
ヘイゼルが嘲笑の笑みを浮かべながら、区画を繋ぐ階段をゆっくりと降りて来ている。
「減らず口を……貴方には丁度良いハンデになったでしょう?」
ヴィエラは鼻で笑うと身を起こした。身体から落ちる砂塵とコンクリートの破片に眉根を寄せ、忌まわしげに払う。
ビリーにフォトン・ブースターを破壊され、地面に叩きつけられた衝撃でヴィエラはクレア・セイバーを紛失していた。得物を失った彼女は代わりにナノトランサーから新たな武器を取り出す。
ヴィエラが取り出した武器を見てヘイゼルは眉根を寄せた。それはヘイゼルが見掛けた事の無い武装だった。形状的にGRM社製のデザインをしているが、片手剣のようにも、ラピッドストリーム系のように大きなフォトンエッジを持つ小剣のようにも、飛刃剣(スライサー)のようにも見える形をしている。
「切り札……って訳か?」
ヘイゼルが階段を下りきった。
ヴィエラの手にする武器は市場に出回っている武装とは明らかに異なったフォルムをしている。おそらく、独自に開発された非正規品(クバラ製)なのだろう。
「出し惜しみか……なら、最初から使っとけよッ!」
「意気がるな、人間(ヒューマン)如きが―――っ!」
デスダンサーを振り上げヘイゼルがヴィエラに襲い掛かり、彼女がそれを迎え撃つ。
ヴィエラが手にする正体不明の武装は直剣サイズの紅いフォトン・ブレードを形成した。
(片手剣のフォトン・ウエポンだったか……なら!)
フォトン・ブースターは破壊され、ヴィエラは高速戦闘を封じられている。
だが、まともに挑んでは、力負けするのを先程の戦いから学んでいたヘイゼルは、片手剣を両手持ちに切り替えた。
ヴィエラが片手剣を振り上げると、突然、フォトンの刃が分解変形した。
六角形状の無数のプレートが紐状のフォトンで繋がれた見た事も無い形状だ。
(形が変わった!? フォトン・ウィップ……いや違う、これは―――ッ!?)
それは、例えて言うなら蛇腹剣と呼ばれる物だ。
剣の形態と、刀身を分割した物がワイヤー状の物で結ばれた、鞭の様な形態を持つ武器である。
しかし、それはフィクションでのみ存在する物であって、現実に存在する武器ではない。
当たり前である。振り上げた途端に自傷してしまいそうなリスキーな武器などある筈がないのだ。
それを使うと言うのか、彼女は!?
ヴィエラが右手をくるりと回すと、フォトン・ワイヤーが見事な螺旋を描く。ヴィエラはその螺旋の渦を操るとヘイゼルへ向かって放った。紅いフォトンの輪がヘイゼルの身体を包むように迫る。本能的な身の危険を感じたヘイゼルが慌てて身をかわすと、フォトンの螺旋は急速に収縮し、擦れ合ったプレート同士が激しい音を立て、飛沫となったフォトン粒子を飛び散らせる。
「良く避けたわね、私の"死の赤輪(レッドリング・オブ・デス)"……褒めて挙げるわ」
ヘイゼルの背中を冷たい汗が走る。
螺旋の渦の中に取り込まれていたら、どうなっていたかは想像に難くない。
「大人しくミンチになりなさい!」
「冗談じゃねえ! なら一気にその懐に踏み込ませてもらう!」
ヘイゼルは気を取り直すと、再び死の螺旋を掻い潜り、ヴィエラに切り掛かった。
だが、直接的な戦闘力はヴィエラの方が上である。
負傷し本体稼働率が低下した今の状態でも、それは変わっていない。
(まともに付き合っても勝てる相手じゃない……だがな、俺も負けてやる気は更々無いんだよ!)
近接の間合いに持ち込まれたヴィエラは、蛇腹剣を素早く片手剣の形態に変化させた。
中・近距離の間合いを制する彼女に危な気は無い。
ヘイゼルは剣を高く振り上げると一気に振り下ろす。鋭くも無ければ、重さも無い一閃。
(まったく……退屈すぎるのよ、貴方は!)
単調なヘイゼルの攻撃に、いい加減飽き気味のヴィエラが攻撃に転じようとした時、剣を振り下ろした勢いのまま、身体を一回転させたヘイゼルの蹴り足が、ヴィエラの胸元へ叩き込まれた。
「うっ!?」
突然の奇襲にバランスを崩したヴィエラへ、ヘイゼルの追撃が延びる。
フォトンの刃は緩やかな曲線を描くヴィエラの胸元を掠めた……だが、浅すぎる。シールドラインは貫けない。
体術を交えた戦技。
訓練生時代、肉体的なポテンシャルが他者には劣ると判断したヘイゼルが、勝つ為に身に付けた技だ。
戦技教練と違うと訓練生仲間や指導教官からは不評だったが、命を掛けた戦いで型に拘り屍を晒す事の方が馬鹿げているとヘイゼルは思っている。それは正しい筈だ。
剣閃と思えば裏拳や蹴り脚を交えたフェイント、かと思い警戒すれば捻りの無い正直な攻撃と、トリッキーな責めに翻弄され、傍から見れば優勢なのはヘイゼルのように見える。だが、彼は内心焦り始めていた。
ヘイゼルの戦技はあくまでも奇をてらった奇襲用の物でしかない。
幾度かは相手の意表を付けるかもしれないが、それが恒久的な物で無い事を知っていた。
ヘイゼルが身体を横に一回転させ剣を横薙ぎに振るう。彼の身体の影に隠れ、見えない状態から繰り出された剣を、ヴィエラは腰を引いて避けたが、それはヘイゼルの計算の内だった。
ヴィエラを正面に捉えたヘイゼルは、右足の爪先を地面に擦るように蹴り上げた。蹴りは直接ヴィエラを襲う物ではなかったが、地面に溜まっていた砂の塊がヴィエラ目掛けて飛び散る。
砂塵を蹴って目潰しとしたのだ。
キャストは半機械の生命体だが、目の構造は生物のソレと似通っている。
効果は有る筈だったのだが、ヴィエラはその砂塵を避けていた。
ちらりと盗み見た顔の口元には余裕の笑みさえ浮かべている。
(避けられた―――!?)
手の内を読まれ始めている。
優秀な戦機である彼女は、短い交戦時間の中でヘイゼルの戦闘スタイルさえ学んだようだ。
その事実にヘイゼルの焦りは加速した。
「何とかの一つ覚えも品切れかしら?」
「ぬかせッ! その減らず口もビリーが合流するまでだ!」
ヴィエラがふふんと嫌味に鼻を鳴らし、カッとなったヘイゼルが言葉を返す。
「あら、そう? それにしては来るのが遅いんじゃないかしら、彼? そう言えば彼はどうしたの? 狙いは逸れたとは言え確かな手応えは有ったのだけど……まさか、見捨てて来たのかしら?」
「黙れと言った! 奴なら、その傷を薬で癒している所だ! 直ぐに此方にやって来る。その時がお前の最後だ!」
ヘイゼルの言葉にヴィエラはまた鼻を鳴らした。
「そうなの……でも彼も貴方も、今日は非番だった筈よね?」
二人の剣が打ち合わさり鍔迫り合いとなった。
睨み合いながらヘイゼルが吐き捨てる。
「……何が言いたい!」
「非番の日も戦闘に備えた準備をしているのかしらね……?」
ヴィエラの言葉がヘイゼルの動揺を誘う。
確かに……ヘイゼルは非番で有った為、回復薬品の持ち合わせが万全ではなかった。
それに、別れ際にビリーが見せた回復薬、あれが本当に回復薬だったのか確かめた訳でない。
(ビリー……お前、まさか―――)
僅かな隙を見せたヘイゼルにヴィエラの鋭い一太刀が浴びせられる。ヘイゼルは辛うじて受け流したが、間髪を入れずヴィエラが前蹴りを放ち、ヘイゼルを蹴り離した。十八番を奪われたヘイゼルは数歩後退り姿勢を保とうとする。
間合いが離れた―――。
機会を逃さず、ヴィエラは再び剣の刃をを蛇腹剣の形状に変形させた。
(ヤバイッ!)
再び踏み込むか? いや、それより彼女が蛇腹剣を振り下ろす方が速い!
瞬時にそう判断したヘイゼルは、ヴィエラと距離を取る為に後退した。
予想通り振り下ろされたヴィエラの蛇腹剣は空しく地面を叩いたが、彼女の操作でまるで生き物のように蠢く蛇腹剣がヘイゼルを執拗に付け狙う。
防戦に持ち込まれたヘイゼルは蛇腹剣の攻撃圏を逃れるべく、近場に山積みにされたコンクリートブッロクの影に飛び込んだ。
「それで隠れたつもりなのかしら? なら、燻り出して上げる!」
煽るヴィエラをブロックの隙間から覗くと、彼女の手にする武器が"く"の字のフォトン・ブレードを形成していた。
(また変形しただと……今度は何だ!?)
ヴィエラは腕を前方に真っ直ぐ伸ばすとフォトン・ブレードを真横に構えた。ブレード部分にフォトン・エネルギーが集束していく。
(フォトンアーツ、チッキキョレンジン……!? と言う事は今度は飛刃剣『スライサー』か!)
飛刃剣は形成したフォトン・ブレードを射出して攻撃する中距離攻撃型の武器で、射角が広く、攻撃時の隙も少ない強力な武装の一種である。
「ミンチが嫌なら、そのブロックごと粉々にしてあげるわ!」
そう言ってヴィエラが射出したフォトン・ブレードがコンクリートブロックを次々と破壊していく。長くは持ち堪えられそうも無い。
「クソッ!」
コンクリートブッロクの影に身を隠したヘイゼルは思わず悪態を吐いた。
その武装、身体能力、戦略と、あらゆる上でヴィエラの戦闘力はヘイゼルを圧倒的に凌駕している。
奇襲も奇策も騙し討ちも効かない!
(駄目だ……実力では到底歯が立たない! 考えろ、考えてアイツの隙を作るんだ……)
だが、急くほどに余計な雑念が湧き上がり、冷静な判断力を奪って行く。
焦りが様々な光景を生み、ヘイゼルの脳裏を目まぐるしく巡る。
その中でふと、ヴィエラの髪に止められた花の形の髪飾りが脳裏に浮かんだ。
不釣合いだが、彼女の緋色に良くあった白い花の飾りが―――。
試す価値はあるかもしれない。
「ユエルの様に愛されなかった事が、破滅を望んだ理由か……」
隠れたコンクリートブロックの影から、ヘイゼルの声が聞こえる。
ヴィエラはその言葉に眉を顰めた。
暗い研究所の片隅で、只一人、メンテナンス用のベッドに括らる日々。
それはまるで壁に掛けられた人形……。
ヴィエラの顔が憎悪に歪む。
「貴方に……何が解るの……」
調整途中で身動きすらできなかった彼女には、幾日も幾日も、視界に入るモニターの光景を見詰める事だけが慰めだった。
そこに映された白い外装パーツに薄紫色の髪の少女の姿。
彼女は絶えず研究員達に囲まれ、嬉しそうにカメラの前を行ったり来たりしている。
それが彼女の姉に当たる存在(モノ)だと、後に聞かされた。

私の姉……私と同じ機械として産まれたのに―――。

「君達は……そう、特別なマシナリーなんだ……マシナリーと言うよりも、キャストに近い存在なんだよ」
言い淀みながら眼鏡を掛けた若い研究員は言った。
「……MSC-00X-P……」
ポツリと呟くヴィエラの言葉に若い研究員は絶句し、息を飲んだ。
それは彼女達に与えられた形式番号……。
「……でも、"マシナリー"なのね……」
その形式の頭にあるMSと言う文字は、彼女達がマシナリーである事を意味している。
研究員は口を噤み、視線を落とした。
まるで懺悔をしているかのごとく……。
そうだ、この研究員が何をどう言い繕うと、自分達は疑う事なきマシナリーなのだ。
それなのに……それなのに……。

姉さんは私の存在を知らされていないようだったけど、私はいつも姉さんを見ていた。

他の研究員に囲まれ笑顔を浮かべている白い少女の姿を……。

何故、貴女は笑っているの?

何故、貴女だけ愛されているの?

何故、貴女だけ……何故、私だけが!

愛される事も、愛する心も持たされず、ただ破壊と殲滅を齎すためだけに産まれた。
言い知れぬ暗い感情が腹の底から、ふつふつと湧き上がる。
「私は人の心を持つ事を許されず、戦術と戦略と敵を憎み破壊する意志だけを与えられた! 人間の感情など知った事ではない! だけど……その私の"ココロ"を……お前達に理解できるものか!」
人(キャスト)でも機械(マシナリー)でもない、中途半端な存在の胸の内を誰が知る。
「ふっ……ざけやがって―――!」
ヘイゼルの胸に湧いた怒り。
だが、今は自分が熱くなる時ではない。
「だから、憎んだのかよ……!」
ヴィエラの姿を一目見た時から感じていた違和感。
彼女を構成する物の一つにして、最も似つかわしくない物……一か八かの賭けだった。
「……ならば、お前のその髪飾りは何だ!?」
「!?」
予期せぬ問いに、続けられていたヴィエラの攻撃がピタリと止む。
反応が有った! ヘイゼルは畳み掛けるように言葉を続ける。
「戦闘重視……ユエルと違って無駄の無い徹底した殺人特化の合理主義……キリングドールの鏡だよ。 ならば、その髪飾りは!?」
戦う為の戦機に飾り等必要では無い。彼女もそれを知っている筈だ。
だからそれは―――。
「お前が選んで付けた飾りじゃないだろう。だったら、それは誰が付けた!?」 
思いも掛けない言葉が、衝撃となってヴィエラの胸を貫く。
不意に眼鏡を掛けた気弱そうな男の姿が脳裏に浮かんだ。ヴィエラの開発に関わった若い研究者。暗い研究室に括られた自分の傍に気が付けば何時も居た男。
ある日、メンテナンスから目覚めると自分の髪に見慣れぬ髪飾りが付いているのに気付いた。不思議な思いだったが、その真意をヴィエラは尋ねようとしなかったし、男も語ろうとはしなかった。

髪飾りの意味。

研究所がSEEDに襲撃されたあの夜―――。
襲って来たSEEDと戦っている最中、不意を付かれたヴィエラを庇い、彼はSEEDに殺された。
戦闘用に作られた自分を庇う意味が何処にあったのだろう?
血の中に横たわる男をぼんやりと見下ろしていると、彼は今際の際にヴィエラに何かを告げた。
あれは何と言っていたか……。
束の間の邂逅に意識を馳せるヴィエラの耳にヘイゼルの声が届く。
「愛されていたんじゃないのか……お前も!?」
言葉が稲妻のように身体を駆け抜け、ヴィエラは目を見開いていた。
眼鏡を掛けた研究員の死に際の姿がフラッシュバックする。
あの時、彼は私に……。
「そんな……そんな事……私には解らないわよっ! だってそうじゃない! そんな感情理解できない。私は、そう言う風に作られたのだからっ!」
いやいやをするように後退りながらヴィエラは再び攻撃を再開した。
だが射出されたフォトン・エッジは、ヘイゼルが身を潜めるコンクリートブロックを大きく逸れる物が多くなっている。
その攻撃から先程までの精度が欠けていた。
ヴィエラは明らかに動揺している……今ならば!
ヘイゼルは身を隠したコンクリートブロックから飛び出すと、ヴィエラへ向かって駆け出した。
襲い来るフォトン・エッジの弾幕を掻い潜り、ヘイゼルは彼女の間合いに踏み込む。
「ぃっ…あああぁぁぁぁぁああああぁぁあああぁぁぁぁっ!!」
ヴィエラの叫びは意味を成していない。しかし戦機としての本能だろうか、混乱しながらも間合いを詰められたヴィエラは、武器をスライサーの形態から片手剣の形態に変形させてヘイゼルを迎え撃った。だが、その剣閃は支離滅裂で精細が無い。

それでも―――!

ヘイゼルは理性の無いヴィエラの攻撃を防ぐのに精一杯で、攻撃に転じきれない。
(及ばない!? 俺の力はこんな物か、クソッタレ!)
ヴィエラの切り上げにヘイゼルは大きく剣を弾かれた。勢い余って体勢を崩され動きが一瞬止まる。
(しま―――ッ!)
隙を付いたヴィエラの剣がヘイゼルを襲う。
次の瞬間、突然襲ってきた衝撃波がヘイゼルを襲った。
(なッ!?)
一瞬、ヘイゼルは何が起こったか理解できなかった。
ただ、その視界の片隅でヴィエラの身体が爆ぜ吹き飛んでいた。

《続く》

ユエル    「ちなみに、オリジナル新作の題名は決まってるみたいッスよ。何でも【注②クロニクル】ってタイトルらしいッス(゚∀゚)」
ヘイゼル   「タヌキの皮算用にならないと良いけどな(゚∀゚)」

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