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2009年4月の投稿

Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-27】

ユエル    「リベンジッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「何の?(;´Д`)」

001
ユエル    「遂にコンビニに出回るようになったッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「諦めてなかったのかよ……('A`)」
ユエル    「さっそく食してみたッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「一応聞いておいてやるけど感想は?('A`)」
ユエル    「……この程度で前回、騒いでだッスか……私は……('A`)」
ヘイゼル   「m9(^Д^)メシウマー!」

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--------- 再開 ----------

【綻び】 Scene-06

◇ ◇ -同時刻- ◇ ◇

キャス子カフェを後にし、リニアライナーの駅に向かっていたユエルの足を、不意に鳴り出したビジフォンの呼び出し音が止めた。
「ハイ、もしもし……あ、ビリーさん、何かご用ッスか? え、ヘイゼルさんと待ち合わせ? ……駅近くの公園で……私もッスか? 了解ッスよ~……って、何か聞き取り辛いッスけど……もしもし、ビリーさん? もしもし~ッス!」
いきなり掛かってきたビリーからの通信は、これからヘイゼルと合流する為、公園で待ち合わせをすると言う内容を告げると切れてしまった。ビリーに連絡を取り直そうと通話を試みるが上手く繋がらない。改めて見るとビジフォンの電波状況を表わすアンテナマークが通話不能と表示されていた。
「電波状況が悪いみたいッスね……」
ユエルは単純に納得するが、それはどこか妙な話しだった。こんな都市の中心で、ライフラインの要である通信インフラの状態が悪い事などありえるのだろうか?
(仕方ないッスね……でも公園に行けば会えるッスよ)
だが、ユエルは深く考えずに公園へ向かって引き返す事にした。
幸い、目指す公園までは、そう遠くは無い。目的地まで道行きを辿りながら、ユエルはキャス子カフェでの話しを回想し考えていた。

自分とヘイゼルの関係とは何だろう―――?

『命の恩人』

それは間違い無い。雨のパルムで自分はヘイゼルに救われた。あの出会いがなければ、今の自分は無いだろう。

『身元引受人で保護者』

ヘイゼルに救われて以降、名実共に自分は彼に保護され続けている。

『マイルームで一緒に生活するルームメイト』

……聞こえは良いが、二人の関係はちょっと違う気がする。

『部屋の家主と居候』

言わずもがな、どちらかと言うと、二人の関係は此方の表現の方が相応しいかもしれない。

『ガーディアンズとしてのパートナー』

ヘイゼルは嫌な顔をするかもしれないが、いつかは、ヘイゼルにそう思われる存在になりたいとユエルは思っている。

考えてみると色々挙げられるが、それらは二人を知る者、皆が認識している周知の事実だろう。
そうでは無く、"自分は"ヘイゼルの事をどう想っているのだろうか―――?
(私にとってヘイゼルさんは……)
その時、一陣の風が過ぎ去った。ザアッ、という風が二本のピッグテールを揺らす。顔を上げると視界に大きな一本の木が飛び込んできた。ユエルはいつの間にか公園近くまで差し掛かっていたらしい。公園の中ほどに立つ、一本の大きな樹が風に緑の葉を湛えた梢を揺らせている。ユエルはその大樹を見上げた。
例えるなら、それがヘイゼル。
どっしりと構え、頼れる存在。
寄り添うと安心して身を任せられる存在。
温かな日差しの中で、いつまでも寄り添っていたい存在―――。
不思議な気持ちがユエルの心に去来する。
それは、とても……とても……なんだろう?
その感情を何と言葉で表現して良いのか、ユエルには解らなかったが、兎に角、自分にとってヘイゼルはそんな存在なのだ。
それが皆が言っていた『恋』という物なのかどうかは解らないけれど、ヘイゼルも自分の事を同じ様に想っていてくれたら……。
そう考えただけで心が弾む。ユエルは不思議な気持ちを味わっていた。足取りも軽やかにユエルは公園の中央に在る大樹に近付いていく。
ふと、ユエルは気付いた。大樹の根元に、見覚えのある人間が腰を下ろしている事に。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

緋色の女性キャストに突き付けられた世間の認識……ヘイゼルと自分と彼女(ユエル)の関係。
それを認めず、逃げ出したアリアは、当ても無く彷徨っている内に公園に辿り着いていた。
公園の中央には開園の際に植樹された、背の高い大きな樹が緑の葉を広げている。枝葉は大きな影を作り、根本に広がる芝生を覆っていた。その中には人影は無い。アリアは人目を避けるように、影の広がる芝生に足を踏み入れると、膝に顔を埋めるようにして蹲った。
今は何も考えたくない。ヘイゼルの事も、あの白い少女の事も、私を煩わす存在も全て……。だが、暗闇の中で過ぎるのはヘイゼルの影と、少女のせせら笑い……。頭がどうにかなりそうだった。大声を上げて叫びたい衝動に駆られた。何度も何度も―――。
どれ位、そうしていただろう?
「―――アリアさんじゃないッスか?」
不意に感じた人の気配と、聞き覚えのある声に、アリアは身を強ばらせた。
最も聞きたくなかった少女の声と特徴ある口調……。
せせら笑いが現実に木霊する。
暗い淀みの中に立ち上がる小さな熾火。
ドクドクと高まる心臓の鼓動。
ゆっくりと見上げたアリアの顔を、白い少女が薄ら笑いを浮かべ見下(みくだ)していた。

◇ ◇ -12:15- ◇ ◇

ハリス・ラブワード氏……いや、ハリス博士と呼ぼう。
彼が録画で言っていた通り、同封されていたストレージデバイスの中には研究のデータが収められていた。
博士は研究データの大半は何者かに持ち去られたと語っていた。これが全ての研究データでは無いのだろうが、それでも。
「それでは、このデータはお預かりして、責任を持ってダルガン総裁に提出します。……決して悪用はさせません。貴女の息子さんの為にも……」
「宜しくお願いします」
玄関先で、そう宣言するモリガンに、婦人は深々と頭を下げた。
ラブワード邸で二人は情報の手掛かりを手にする事が出来た。解らない事も多いが、一定の成果を得たと言って良いだろう。
資料と記録を婦人から預かった二人は、彼女の見送りを受け、ラブワード邸を後にする事にした。だが、ヘイゼルは何か気になる事があるらしく、心は此処に有らずといった様子だった。
別れの挨拶を終え、玄関を出ようとドアに手を掛けた二人の後ろで婦人の声が上がる。
「あら、ユエル……どうしたの?」
(ユエル―――!?)
聞きなれた名に驚いて二人が振り向くと、彼女は一匹の白い猫を抱き上げていた。二人の驚いた顔に見詰められ、婦人は不思議そうな表情を浮かべている。
「ユエル……この子の名前です……。ユニスを名付ける前に、彼女の名前の候補として上がっていた、もう一つの名前……この子は名付けられなかったもう片方の名前を貰ったのよ……」
婦人の抱いた猫が不思議そうな顔で二人を見上げ「にゃあ」と鳴く。
その瞳もヘイゼルと同じ榛色(ヘイゼルの瞳)をしていた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ラブワード邸の前に停められていた車に乗り込むと、モリガンは車を発進させた。
車は一路、ホルテスシティを目指しているが、二人の間に会話は無い。
映像の中で、ハリス博士はエンドラム機関に所属し、『キャスト』にも搭載可能なA・Fリアクターを開発していたと言っていた。
そして、応接間にあった写真で見た、今は亡き博士の一人娘、ユニス・ラブワード……。
彼女にそっくりの容姿を持つ少女型キャスト、ユエル・プロトの存在。
与えられたキーワードから導かれた答え……全ては想像の域を出ないが……。
「ユエルは……死んだユニスの……コピーキャスト……なのか」
ヘイゼルが重く口を開いた。彼の声には力が無い。

【コピーキャスト】

それは、元となる人物の人格を、そのままコピーされた頭脳体を移植したキャストの総称。
人の意思をデジタル化し、個人のクローンを作製する技術。
魂のクローニング化……永遠を望んだ人の科学が生み出した悪魔の所業。
禁忌とされる、違法に製造された存在だ。
ハリス博士は娘恋しさの余り、開発の枠を超え、私的な理由で娘のコピーを製造したのではないか?
それがヘイゼルの推理である。
もし、ユエルが本当にコピーキャストだとしたら……。
コピーキャストに人権も未来も無い。
その存在を許されない彼等の行く先は、例外無く、くず鉄(ジャンク)置き場だ。
―――ユエルもそうだと言うのか!?
「違うぞヘイゼル……博士が本当に死んだ娘のコピーキャストを製造したとしたら、それには実の娘と同じ名前を付けていた筈だ。……そう、ユニスと……」
モリガンは真っ直ぐ前を見詰めながら断言する。
「何故、そう言い切れる! ……その根拠はあるのか!?」
それは無責任な慰めか……苛立ったヘイゼルが声を荒げた。感情的な彼の問いに、モリガンは自嘲混じりの笑みを浮かべ呟く。
「私も、嘗てそうだったからさ……」
それはどう言う事だとヘイゼルは思ったが、普段の彼女らしからぬ、弱弱しい横顔に問う言葉を告げる事が出来なかった。
だからモリガンが言った言葉の意味は自分で推測するしかない。
本当の娘では無いが、コピーされた娘でも無い……。
博士は、その事実を理解していたのだろう。
だからこそ、付けられなかった方の名を彼女に与えたのではないか?
別の命として……。

―――ユエル―――。

「ヘイゼル……私が、キャスト専門医になったのは、死んでしまった人間のコピーキャストを造る為だったのだ―――」
衝撃的なモリガンの告白に、ヘイゼルは息を呑んだ。
「あの頃の自分にはそれが出来ると思っていた……そして、その力も有ると信じていた……。だが、それが間違っていると教えてくれたのは、ヘイゼル……お前なのだよ……」
「俺が?」
ヘイゼルは眉を顰めた。モリガンからそんな事実を知らされるのは初めてだし、その彼女を諌めた記憶も無い。
「お前は大切な両親を亡くし、世界に絶望しながらも、常に前を向き、後ろを振り返る事はしていなかった……それが普通の人間の姿なのだ。亡き者を偲び、いつまでも引き摺るのは人としての未熟さ。あまつさえ、その写し身を作り出す等と言う事は、命を冒涜する科学者の傲慢だ……私は、お前のお陰でそれに気付いた」
「……」
ヘイゼルは何も言わなかった。自身には、そのような意識は無かったから。だが、そこからモリガンが何かを感じたとしたならば、それは他人が口を挟むべき事ではない。人が見る世界の側面は、一人一人違っているのだから。
「愛しい者を失った博士の気持ちは解らなくはない。だが、失った命の代わりなどあるわけがないんだ。一つの命は使い切り……リサイクルなど出来ないと言うのに……」

《続く》

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カップヌードルがリニューアル! ……らしいッスよ(゚∀゚)

ユエル    「今日は何の日か知ってるッスか?(゚∀゚)」
ヘイゼル   「……いや知らんが?」
ユエル    「今日は日清のカップヌードルが、リニューアルされて新発売される日ッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「知るかッ! てか、どうでも良いわ! そんな事!(#゚Д゚)」
ユエル    「あ、意外とファンには重要な事ッスよ? カップヌードルに入っている、肉知ってるッスか?」
ヘイゼル   「あの、謎肉か?」
ユエル    「ハイッスよ、あれは『ダイスミンチ』って言うッスけど、それの仕様が変わって『コロチャー』ってのになったらしいッス」
ヘイゼル   「コロチャー? てか名前あんのかアレに……(;´Д`)」
ユエル    「名前から察するに、コロコロした形のチャーシューだと思うッスよ」
ヘイゼル   「……本気でどうでも良い事だな」
ユエル    「長年謎肉に親しんできたファンの中には、不買運動も辞さない覚悟の人も居るとか居ないとか……」
ヘイゼル   「何故そこまで……て言うか、お前もカップヌードルファンだったのか?」
ユエル    「いや、全然ッスよ。どっちかと言うとチリトマト味の方が好きッスね(゚∀゚)」
ヘイゼル   「……話しが解らなくなってきた(;´Д`) で、結局何がしたいのよ?」
ユエル    「味もみないで批評するのは何だから、私は自分の舌で判断んするッス! と言うことで、今日のお昼はカップヌードルに決定ッス! コンビニに行って買って来るッスよ!」
ヘイゼル   「こんな田舎のコンビニで新製品が売ってるかね……?」
ユエル    「田舎舐めんなッスよ!(゚Д゚#)」

【30分後】

ユエル    「5店舗周って全滅だったッスよ……('A`)」
ヘイゼル   「m9(^Д^)プギャー」
ユエル    「結構時間掛けたのに心が折れそうです……」
ヘイゼル   「しっかりしろソウル体(゚∀゚)」
ユエル    「苦しいです、評価して下さい……('A`)」

『諦めたらそこで試合終了だよ』

        ,,,...
        巴j
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 /4n'   i;;;;;;;;;:;;)
rr"-|ト、  ヽ:;;:;/
" ̄ ̄   '"-'

ユエル    「!? 今、諦めちゃ駄目だって、先生の声が聞こえたッス!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「(ユエルン電波受信中!?) Σ(´Д`lll)」
ユエル    「そこ! ネタローカル、そして古すぎッスよ!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「心の声を聞くなよ!(#゚Д゚)」
ユエル    「兎に角、ここまで来たら意地でも探し出すッスよ! ちょっと遠いけど街まで繰り出すッス!( ゚Д゚)」
ヘイゼル   「何でそこまで熱心なんだよ!」
ユエル    「日清だけに(゚∀゚)」
ヘイゼル   「カエレ!(#゚Д゚)」

【更に60分後】

ユエル    「さあ! 買ってきたッス! 中を開けるッスよ!(゚∀゚)」

ゴゴゴゴゴゴゴ!
001

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

002

バ――――ン!

003
ユエル    「これだから田舎はっ!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「オマエ、一時間半前に田舎舐めんなって言ってたじゃねえかッ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「何でお昼を買いにコンビニに行って、一時間半も掛かるッスか!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「知るかッ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「お腹ペコペコッスよ!(゚Д゚#)」
ヘイゼル   「自業自得だろうがッ!(#゚Д゚)」

結局、10店舗を駆け回って見つける事はできませんでしたッスよ……('Д`)
新型カップヌードルのレヴューはまた今度ッスね (ノ∀`)

【ユエル先生の美味しいカップヌードル講座】

オマケで私が昔、先輩から教わったカップヌードルの新しい食べ方を皆に教えるッスね!(゚∀゚)

①カップヌードルにお湯を注ぐ

②一分後蓋を外す

③食す

④( ゚Д゚)ウマー

ヘイゼル   「待てやッ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「芯の残ったアルデンテの食感! スナック感覚で食べられるッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「いや、その先輩が単にせっかちだっただけで……」
ユエル    「また来週~!(゚∀゚)ノ」
ヘイゼル   「聞けよッ!(#゚Д゚) しかもこれグルメと関係なくね!?」

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-26】

>内容と全く関係なくて、すごいどうでもいい質問なんですが
>「ッス~」の口調ってゴーダンナーの林さんが
>元だったりするのかな?
>(スパロボで得た知識です!)

アイン    「ガンランスを操るモンスターハンター! “アイン・クローブル”ッスよ~!(゚∀゚)ノ♪」
ヒギンス   「大弓を使用するモンスターハンター。“ヒギンス・ラトヴァリス”です^^」
アイン    「久々に表の世界に帰って来たッスよ! おひーちゃん」
ヒギンス   「そうね、あーちゃん。かれこれ三年以上、私達を忘れていたみたいよ、あの作者……^^」
ヘイゼル   「誰―――ッ!? Σ(´Д`lll)」
アイン    「あれ? 自称“ファントム”さんじゃないッスか? いつものマスクどうしたッスか?(゚∀゚)」
ヘイゼル   「マスクも付けないし、ファントムさんでもNEEEEEE―――ッ!(゚Д゚#)」
アイン    「えー( ´゚д゚`) だっていつもと芸風変わってないッスよ?」
ヘイゼル   「芸風言うなッ! Σ(´Д`lll)」
ヒギンス   「つまり、“ディレット”、“ファントム”、“ヘイゼル”と歴代の突っ込みは誰でも一緒と言うことね^^」
ヘイゼル   「意外と毒舌かよ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「……って、言うか何で私抜きで、いつも通りの進行してるッスか!(#゚Д゚)」
アイン    「いよう、キャラ被り(゚∀゚)」
ユエル    「何だとッス!(#゚Д゚)」
ヘイゼル   「何この状況……誰か助けて下さ―――いッ!(;´Д`)」
ヒギンス   「今更、セカチューですか^^;」

MARさんから質問があったので答えてみました(゚∀゚)

ファントム   「いや、答えになってねえし!(゚Д゚#)」

昔、モンハン2をやってた時にSNSで今と似たような事をしてたッスけど、その時にアインとヒギンスを使って『よつばと』的に、なんでもないハンターの日常を小説化しようと考えてたッスけど、計画が立ち消えに……。
で、アインのキャラが気に入ってたので、リサイクルして生まれたのがユエルなのッスよ(゚∀゚)
で、この口調はって言うと……何でこうなったんだっけ?(;´Д`)

ランスロット 「尚、この小説は、にほんブログ村で“長編小説”部門のランキングに参加中です~。お気に召したら右側のバナーをポチッて下さいね~(゚∀゚)」
ディレット   「おい元祖! 勝手に出番作ってんなよ!(#゚Д゚)」

--------- 再開 ----------

【綻び】 Scene-05

三分程して婦人は宅配便の箱を持って戻って来た。彼女は箱をテーブルの上に載せ、再びソファーに腰を下ろす。
「先程も少し話しましたが、息子はユニスの死後、勤めていたGRMを辞め、別な仕事に就いていたようです。疎遠になっていたので、どんな仕事に就いていたのかまでは解りません……。先日も軍警察の方がいらっしゃった時、同じ事をご説明しました」
此処へは既に軍警察の手も回っていた。まあ当然と言えば当然だとモリガンは納得する。
「やって来た軍警察の方達は押収と言って、息子が残していた資料や荷物を全て持って行ってしまいました」
婦人の声からは押し殺した憤りを感じる。捜査の名の下、息子の遺品を持ち去る軍のやり方に、納得の出来ない物があったのだろう。
「ですが、軍警察の方が訪れた数日後……私の家に、この荷物が届きました」
老婦人が運んで来た宅急便の箱を示す。モリガンはその荷物を注意深く観察した。
「荷物ですか……差出人は……ハリス・ラブワード!?」
荷物に貼られた配送伝票に記された差出人の名前は、死亡したハリス氏の物だった。
「ええ、死んだ息子からの荷物でした」
配送伝票に記された受付の日付は博士が死ぬ前日。それから二週間後の配達日指定となっている。微妙に間隔を空けた理由は何故だろう……。
「この荷物の中に、息子の手紙が同封されていました。『この中身は、私を追って訪ねて来るであろう、然るべき人に渡して欲しい』と記されています……ガーディアンズの方々、おそらくそれは貴方達の事なのでしょう」
婦人は真っ直ぐに二人の目を見つめている……。彼女はこの荷物を軍警察に渡さなかった。
それは捜査の為とは言え、半ば強制的に息子の遺品を持ち去って行った軍警察への当て付けの意味も有るのかもしれない。モリガンは何となく、そう認識した。
「……拝見させて頂きます」
モリガンは告げると箱を開け、中身の確認した。梱包用の衝撃吸収材が敷き詰められた箱の中には、種類の違う数個のストレージデバイスと手書きの資料がまとめられたファイル、そして何かのデバイスが収められていた。
大きさは掌ほどで、脇に操作ボタンが並んでいる。非正規品(クバラ製)のホログラム・レコーダー(立体映像録画機)のようだ。
モリガンはホログラム・レコーダーの再生ボタンを押した。ディスクが回転する音と共に、デバイスの上面から男性の上半身が立体映像となって浮かび上がった。モリガンはレコーダーをテーブルの上に置き、全員に映像が見えるようにした。画質は悪く所々にノイズが走っているが、映っているのは、白衣を身に着けた痩せ型の中年男性で、オールバックの髪型をしていた。
「ハリス―――!?」
その姿を見た婦人が息を呑み、息子の名を呟いた。彼女が言うのだから間違いないだろう、彼がハリス・ラブワードだ。
『―――この記録を見ているという事は……あなた達が真実を託された者達だという事なのだろう……』
話しを始めたハリスの呼吸は荒く、時折り辛そうに顔を歪めている。様子から見て彼は椅子にもたれ掛かっているようだ。
『私の名は『ハリス・ラブワード』……愚かにも、エンドラム機関の犬と成り下がった男だ……』
「エンドラム機関!?」
ハリス氏の口から飛び出した思わぬ言葉に、ヘイゼルとモリガンは仰天していた。
エンドラム機関はレリクス保全を名目に同盟軍に設立されていた特務機関の名称である。作戦遂行の為なら超法規的手段を取る事も辞さない、同盟軍でも特に異端とされた部隊だ。先のSEED事件の影では、部隊長レンヴォルト・マガシの指揮の下、暗躍していたと言われている。現在は責任者であったエンドラム・ハーネスは拘束され、機関は解体されている筈だが……。
『いや、機関は既に崩壊し残党となった我々は、その亡霊だ……。私はかつて、GRM社の技術者として『A・フォトンリアクター(以降、A・Fリアクター)』を小型化する為の研究に取り組んでいた……。もっとも、当時の技術ではA・Fリアクターの小型化は夢物語で、お世辞にも小型と呼べるA・Fリアクターを完成させる事はできなかったが……。それでも、私が取り組んだ研究は実を結び、当時画期的だったAFリアクターエンジンを搭載した宇宙船が完成した。そして初運航に漕ぎ着けた記念すべき日に……あの事件は起こった……。航行途中の宇宙船が事故に遭い爆散したのだ……私の娘……ユニスと共に―――』
ハリス氏が話す内容は、先ほど婦人に聞いた物を補足する内容だった。
『同盟軍の航宙事故調査委員会は、それがスペースデブリの衝突による事故だったと結論を出した……。だが、真実は違った……違っていたのだ……。娘を失ったショックで茫然自失となっていたある時、私の元を同盟軍の関係者と名乗る男が訪れて言った。

『事故はスペースデブリの衝突による物などではない』と―――。

あの事故は……SEEDに……SEEDによって起こされた事故だったのだ』
民間がSEEDの事実を知るようになったのは、星誕祭に起こった事件が切っ掛けだが、軍の一部や研究者の中ではSEEDの存在は数年前から知られていたと言われている。
『真実を聞かされた私は、娘を奪ったSEEDを憎んだ……。訪ねて来た男は更に私にこう言った……。

『娘の仇を討つ為に、我々に協力しないか?』と―――。

憎しみが……正常な判断を鈍らせたのだろう……。私は男の誘いに乗ってしまった……。男はエンドラム機関の一員だったのだ。その後、エンドラム機関に参加する事になった私は、A・Fリアクターの研究に取り組む事になった……全ては娘を奪ったSEEDへの復讐を果たす為に……』
声を絞り出すハリスの瞳に、怒りに燻る暗い焔の色が浮かぶ。
「あぁ……ハリス……馬鹿な子……」
婦人はそう呟きながら目頭を押さえた。
『―――ある時、私はエンドラム機関の実験として、"キャストに搭載可能"な小型A・Fリアクターの開発・製造を任された……それは発想の転換と奇抜なアイデアから誕生した画期的なA・Fリアクターだった……。しかし、その結果、自分が何を造る事になるかまでは考えていなかった……私は……間違っていたのだ……』
ハリスの顔には苦渋と後悔の色が浮かんでいる。
『紆余曲折を経て、開発がほぼ完了に近付いた昨夜……研究所は突然、SEEDの襲来を受け壊滅した……辛うじて生き残った私は研究所内に戻ったが、保管されていた筈の資料の大半は、既に何者かの手により持ち去られた後だった……』
そこまで言って、ハリス氏は何かに気付いたのか眉根を寄せた。
『……襲撃は仕組まれていた……のか? ……いや、そんな事は、もうどうでも良い事だ……。ここに私が個人で所有していたデータがある……。これを、このレコーダーと共に同封し、母さんの元に送らせて頂きます……。母さん……最後まで勝手で我侭な不祥の息子をお許し下さい……。ですが、これが正しく法と秩序を遵守できる者の手に渡ってくれる事を私は切に願います……贖罪にもならないが……せめてもの罪滅ぼしの為に……すまない、ユエ……ゴホ、ゴホッ!』
博士はそこで激しく咳き込んだ。口元の拭う手には微かに血が付着している。映像を注視すると、彼が見に着ける白いシャツには血が滲んでいた。
『はぁ……ユニ……ス……私も、もうすぐお前の所へ……だが、その前に……その前に私にはやらなければならない事がある……やらなければならない事が……』
ハリス氏が苦しそうに上半身を起こしカメラに迫る。そしてホログラムは掻き消えた。録画を中断したのだろう。
それが記録の全てだった―――。

◇ ◇ -11:50- ◇ ◇

ビリーは久し振りに駅前のアーケードに足を延ばしていた。
ディ・ラガン討伐ミッション以降、ミッションの依頼は無い。平和な物だ。このまま行けば、パルムでの短期駐留任務も何事も無く終わりそうである。
アーケードは人々で賑わっている。通りの一角にブランドショップを見掛けたビリーは、何気なく足を止め、ショーウィンドウをかがんで覗き込んだ。
宝石をあしらった様々な装飾品がショーケースに納められている。ビリーはその中に小さく控え目な翠緑玉(エメラルド)で飾られた髪留めを見付けた。白いキャストの少女の瞳と同じ、鮮やかな緑色は彼女に良く似合いそうである。ビリーはこの髪留めを付けた少女の姿を思い浮かべた。想像とは言え、それは大変似合っている。しかし―――。
(……これを貰って嬉しいのは、俺からじゃないんだぜ……)
ビリーは苦笑いを浮かべた。彼女がこういったプレゼントを贈られて、嬉しい筈の相手には残念な事に、そのような甲斐性は無い。
(世の中上手くいかない物だぜ……)
「そうよね……貴方の方が、こんなにも彼女の事を想っているのにね」
溜息を吐くビリーの背後から、突然、女性の声が聞こえた。気配など全く感じなかったと言うのに……。
ビリーはゆっくりと視線を動かした。ショーウィンドーのガラスに、ビリーの背後に立つ女性の姿が映っている。
肩口まである緋色の髪と、薄い眉に鋭い瞳も緋色。
全身を覆わせた動き易そうな緋色の外装パーツ、その上に羽織る肘まで届くケープをもまた緋色。
全てが緋色で構成された、緋色の女性キャストが―――。
ビリーはゆっくりと身を起こし振り返った。
「美人の顔は忘れない主義なんだが……何処かでお会いしましたんだぜ?」
緋色の女がニヤリと笑う。彼女の髪に飾られた花の形をした髪飾りだけが異彩を放っていた。

◇ ◇ -12:10- ◇ ◇

昼時のキャス子カフェは、軽い昼食を取る人々で賑わっていた。
「ヒマねー」
「暇だねー」
一足早い昼食を終えた二人の女性キャストがテーブルに突っ伏している。
SEED騒乱の後、現在まで大きな事件は起こっていない。出番の無い彼女達は麗らかな午後の日差しを受け、暇を満喫していた。
「だらしない……ガーディアンズの自分達が弛んでいてどうするんじゃ」
ぽっちゃりしたキャストが呆れながら彼女達を諌める。
「そう言えばさ、この前変わった風体の女性キャストに、ユエルンの事をイロイロと訊ねられたのよ」
「ユエルの事を?」
「うん、全身真っ赤な色の女性キャストだったのよ」
「……それで、あんたはイロイロと喋っちゃったの?」
対面に座る女性キャストの咎めるような言葉に、気まずそうに頷く。
「うん……だ、だって彼女、すっごく話しが上手くて、ついつい乗せられて……で、でも、ユエルンのプライベートに関わる事は喋ってないよ!」
「……その女、俺も話しかけられたかもしれん」
話しに聞き耳を立てていた、単眼の男性キャストがボソリと呟く。
「……実は私も……」
「え、貴女もなの?」
「俺もその女に会ってるかも」
カフェの彼方此方から次々と緋色の女の目撃報告が挙がる。これは一体―――。
「……ちょっと待て、その女性キャストは肩に赤いケープを掛けておったか?」
ぽっちゃりキャストの質問に、緑色髪をポニテールでまとめた少女型キャストが頷く。
「あー……うん、そう言えば掛けてたわ。『緋色』のケープ……キャストがパーツの上から、そんな物を羽織るなんて珍しいよね……。で、それがどうかしたの?」
「ちょっと前に起こったボヤ騒ぎ憶えているか?」
ぽっちゃりキャストが言うボヤ騒ぎとは、先日カフェの近くであった火災の事だ。幸いにも彼女達の迅速な対応のお陰でボヤ程度で済んだのだが……。
「あの時、火災を発見して、カフェに応援を求めて来たのと……おそらく同じ女性じゃろう……」
「……どういう事かしラ?」
灰色の長い髪を持つ女性キャストが不審そうに眉を顰める。
「あのボヤ事件の犯人は捕まっていない。そして犯罪捜査の基本は第一発見者を疑う事じゃ……」
「オイオイ……まさか……」
「だが問題は、その女がユエルの事を嗅ぎ回っている理由じゃ」
「念の為、ユエルンに教えておいた方が良いかしら?」
不安を感じた青黒いショートカットの女性キャストがユエルにビジフォンを掛け、注意を促そうとしたが……。
「ダメ……ユエルン、話し中みたいよ」
ビジフォンの画面には『相手先 通話中』の文字が表示されたいた。

《続く》

PSU小説の連載が終了したら、モンハン小説を出してみようかと思ってます。
ネタ確保!(゚∀゚)

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-25】

004

ユエル    「弓始めましたッス(゚∀゚)」
ヘイゼル   「いきなりだな、オイ! 久々の更新が何て入り方だ! Σ(´Д`lll)」
ユエル    「超強化されたと聞いて、PAも上がり易いって話しなので本格的に始めてみたッスけど…何コレ、普通にダメージが四桁出るッスけど!? ハンドガン涙目!(;´Д`)」
ヘイゼル   「ハンドガンと比べてどうすんだ…つーか、知らなかったのはオマエだけじゃね?」
ユエル    「Σ(´Д`lll) そ、そんな事よりアップデータされた、面白そうな自キャラのカスタマイズについてを勉強してみたッスけど…」
ヘイゼル   「お、本気出したか(゚∀゚)」
ユエル    「読むの面倒クサ! 挫折!」
ヘイゼル   「そこでかよッ! だからオマエは何時まで経っても地雷なんだ!(゚Д゚#)」
ユエル    「キニシナイ! ♪~(゚ε゚)  それじゃ今回もPSU小説行ってみるッスよ~!」

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--------- 再開 ----------

【綻び】 Scene-04

「これは、どう言う事だ……」
モリガンが呻くように呟くが、ヘイゼルは彼女の言葉など耳に入らない様子で、次々と他の写真を手に取っていた。

ジュニアスクールの入学式に撮ったと思われる写真。

ニューデイズで桜の木を背景に撮られた写真。

バラカナビーチで撮られたと思われる、白いワンピース水着の上にパーカーを羽織った写真。

庭園の花壇で花々に囲まれた写真。

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そのポートレートは少女の成長記録でもあるのか、写っている時分の年齢はまちまちだ。
ヘイゼルは、その内の一枚。公園で撮影した物らしい、6歳位の時の少女と、同い年位の少年が砂場で遊んでいる写真を見てハッと息を呑んだ。

002
「……どうかしたか?」
血相を変えたヘイゼルの様子に気付き、モリガンが訊ねると彼は掠れた声で呟いた。
「この写真に一緒に写っているのは……俺だ……」
「何だと?」
少女と共に砂場で遊んでいる少年は、間違いなく幼い時の自分の姿だ。
(どうして、この写真に俺が……まさか―――!?)
日の光を浴びた砂の臭いと少女の笑う声が聞こえた気がした。ヘイゼルの脳裏をモノクロームの光景が一瞬にして駆け抜ける。

―――それはまだ両親も健在だった幼少の時分……。

ヘイゼルはホルテスシティの公園で、一人の少女と知り合い仲良くなった。
ユエルと初めて逢った雨の日、ヘイゼルが物思いに耽っていた、あの公園だ。
ヘイゼルは彼女に会う為に毎日のように公園に通っていた。二人で過ごす楽しい日々……だが、それは長く続かなかった。
父親が経営していた会社の破綻。
両親は逃げるようにホルテスシティを離れ、少年も不条理な大人の事情に流されるしかなかった。
残酷な運命に因り、少年と少女は引き裂かれ、以降、ヘイゼルは彼女に会う事は一度もなかった……。
微かな記憶を辿り思い出した……今なら解る。
ユエルと初めて逢った時に感じた既視感、それは、この少女に起因していたのだ。

「お待たせしたかしら?」
その時、応接間の扉が開き、老婦人がお茶のセットを抱えて戻って来た。
「お茶をお淹れしました……あら、どうかしましたか?」
婦人は暖炉の天板に置かれたポートレートを食い入るように見つめる二人を見て不思議そうにしていた。
「ご婦人、この写真の少女は?」
「ああ……それは、"ユニス・ラブワード"……私の孫娘です」
モリガンの問いに答えながら、婦人はテーブルの上にコーヒーの入ったカップを並べ始めた。
「と言う事は、ハリス氏の……?」
「ええ、息子の一人娘……でした」
「―――でした?」
二人の会話にヘイゼルが口を挟んだ。婦人の言葉は過去形で結ばれている事に気付いたからだ。
「はい……とりあえず、お二人ともお掛けになってコーヒーをどうぞ」
老婦人は一瞬目を伏せると、二人にソファーに腰を掛けるように薦めた。二人は黙って婦人の言葉に従い、隣り合わせて腰を下ろした。婦人も向かい合わせに着席すると、コーヒーを一口含み静かに語り始めた。

003
「―――あれは4年前の事です……。当時、息子のハリスはGRM社の研究員として、新型の宇宙船技術の開発に従事し、Gコロニーに単身赴任しておりました……。ある日、ハリスが開発に関わった新型の宇宙船が完成し、その初運航の為、製造されたGコロニーのドックからパルム衛星軌道上間の往復運行を行う事になったのです……。その時、ユニスはGコロニーに居る父に会いに行く為、特別に復路の乗船を許可されていました。久し振りに父に会えるのを、あの子は心待ちにしていましたよ……。ですが航行途中で思わぬ事故に遭遇し……命を落としてしまいした……」
当時の記憶を思い出したのか、婦人は辛そうに眉を顰めた。

001
「死ん……だ……?」
婦人の説明に自分が少なからず衝撃を受けている事にヘイゼルは気付いた。
少女の……ユニスの事など今まで忘れていたと言うのに……。
「事故ですか?」
モリガンは事故と言う説明が気になっていた。宇宙船の事故と言えば、かなり大きなニュースだ。記憶に残っていても不思議ではない。
「ええ……巨大なスペースデブリ(宇宙ゴミ)の衝突が原因だったと伺っております」
(あの事故か……)
婦人の説明にモリガンは当時のニュースを思い出していた。確かグラールチャンネル5のトップでも伝えられた大きな事故だった。
「……不幸な偶然だったのでしょうね」
婦人は今一度目を伏せ溜息を吐く。
「それは……ハリス博士とご婦人のご心境お察します」
婦人を気遣いながらも、モリガンには腑に落ちない点があった。
(宇宙船を沈めるような巨大なデブリの存在が、果たして観測されない物だろうか……?)
惑星間を航行する宇宙船にとってスペースデブリの存在は、最も気を使わなければならない要素だ。それを捉える為のレーダー技術も進んでいる筈なのだが……。
「娘を失ったハリスの悲しみは、私の比では無かったと思います。何しろ、娘を産んで直ぐに妻は他界し、男手一つで大切に育てていた一人娘でしたから、そのショックは計り知れません……。ユニスの死後、息子は勤めていたGRMも退社してしまい、その後は連絡が途切れがちになり疎遠となってしまっていました……ところで、ユニスがどうかしましたでしょうか?」
婦人はそれを不思議がっていた。
「実は、写真の一枚に写っているのが、彼らしいのです」
モリガンが公園の砂場で撮られた写真と隣のヘイゼルを示すと、老婦人は目を丸くしてヘイゼルの顔を凝視した。
「ヘイゼル……ディーン……? まあ! そう言えば、その榛色の瞳(ヘイゼル・アイ)憶えているわ。あらあら本当に懐かしい……」
まるで旧知の知り合いに語りかけるような婦人の態度にヘイゼルは気恥ずかしさを覚えた。
「ご婦人もこいつをご存知でしたか」
「ええ、憶えておりますわ。当時、ユニスはボーイフレンドが出来たと大変喜んでおりました……でも、突然貴方はぱったりと公園に姿を現さなくなってしまって、ユニスは寂しがっていたのよ」
婦人は少し責めるような視線でヘイゼルを見つめた。
謝らなければならない。あの時、別れを告げる事が出来なかった事を、たとえそれが本人ではないとしても言わなければならない。
自分は決してユニスを軽んじていた訳では無い事を……。
「違う! 違うんだ……俺は……」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ヘイゼルは婦人に説明した。あの時、ユニスに会いに行けなくなった理由を、転落した時分の人生を……。
彼の告白を聞いた婦人の顔が、申し訳なさそうに曇る。
「そんな事が……ごめんなさい、嫌な事を思い出させてしまったかしら……」
ヘイゼルはいいえと首を横に振った。
確かに自分にとっては嫌な記憶だが、告白した事により長年無意識に溜め込んでいたわだかまりが解けた気がしていた。
「でも、あの時の男の子がこんな立派に成長して、しかもガーディアンズになっているなんて思っていませんでいした……これもあの子の導きかもしれませんね。決心致しました……あなた方も息子の事で訪ねていらしゃったのでしょう?」
婦人は此方の訪問の意図に気付いていたようだ。モリガンは黙って頷いた。
「貴女の息子さんの事で、教えて頂きたい事があって来ました」
「解りました……少々お待ち頂けるかしら」
婦人はそう言うと立ち上がり、部屋を出て行った―――。

《続く》

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