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2009年9月の投稿

【短編小説】Demon's Souls【読切SS】

ユエル    「はい、更新~ッスよ(゚∀゚)」
ヘイゼル   「はえーよッ! Σ(´Д`lll) 今までの体たらくは何だったんだ!」
ユエル    「前に書いて、一度公開停止した『デモンズソウル』の短編小説の改訂版ッスよ!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「手抜きじゃねえかッ!(゚Д゚#)」
ユエル    「失礼ッスね! 新作の短編も付けるッスよ!(#゚Д゚)」
ヘイゼル   「なら……まあ良いか……」
ユエル    「実は新作も5月には完成してたッス……('Д`)」
ヘイゼル   「やっぱり手抜きかyp!」
ユエル    「某電撃さんのデモンズ企画に応募したやつなんッスけど、募集期間はとっくに終わったみたいなのに音沙汰がなかったので……('A`)」
ヘイゼル   「あー……それは……('Д`)」
ユエル    「なので、旬は過ぎちゃってるッスけど、今日公開するッスよ!(゚∀゚)」

以前の改訂版

http://moegami.moe-nifty.com/blog/2009/09/demons-soulsss-.html

新作?

http://moegami.moe-nifty.com/blog/2009/09/demons-soulss-1.html

ユエル    「PSU小説も鋭意製作中ッスよ~! 早めに仕上げるから待っててッスね!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「遅え! もうすぐ二年目に突入だぞ!? Σ(´Д`lll)」

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【短編小説】Demon's Souls【読切SS】王子の大冒険!

【Demon's Souls ―背徳の王子―】

良き王に統治され、ソウルの業という力により繁栄した我が祖国ボーレタリアは、乱心した王が目覚めさせた古い獣が生み出した色の無い濃霧、そして無数のデーモン達に因って滅んだ。
遥か南の国に渡っていた私は、ボーレタリア滅亡の報せを受け、矢も盾もたまらず祖国に舞い戻った。
賢王と呼ばれたオーラント王が乱心したとは信じられなかったのだ。
色の無い濃霧に閉ざされ、隔絶された我が祖国ボーレタリア。
何者かの声に導かれ、霧の裂け目からボーレタリア内部に侵入する事に成功した私が見た物は、デーモンに因って蹂躙された王城と、ソウルを奪われ亡霊のように城を徘徊する兵士達の姿だった。
嘗て栄華を誇ったボーレタリア王城は、夥しい屍と血に塗れ、見る影も無くなっていた。

「この惨劇を本当に王が招いたと言うのか……」

信じられなかった。誰よりも民の事を考えていた王が、この様な悲劇を引き起こすなど……。
確かめなければならない……。直接、王に会って事の真相を問い質すのだ!
私はオーラント王が見下ろしているであろう、王の間へ向かう為に歩き出した。
途中に立ちはだかる祖国の民を斬り伏せるのは気が引けたが、引き返す訳にはいかなかった。
だが、多勢に無勢。ソウルを奪われ、人としての意思を失った虜囚の兵とは言え、数で攻められてはどうする事もできない。
防戦を余儀なくされた私は、ジリジリと後退し続け、気付くと、いつの間にか迷宮の様な城の行き止まりに追い込まれていた。
絶体絶命の危機、その窮地を救ってくれたのが君だった。
楔の神殿で灯火を守る黒衣の少女に“魔を殺す者”と呼ばれ、実際に強壮なデーモンを屠ってきた君……。
その後も私は幾度と無く君に危機を救われた。
私は逢う度に強さを増す君を羨望の想いで見つめ、君の中に“英雄”と呼ばれる者の資質を見た。
我が友よ……それは私には無い力だ……。
君に助けられながら、私は城の抜け道を利用し、遂に王城の最深部である王の間へと辿り着いた。
王の間を閉ざす霧を抜けた奥には、瓦礫となった玉座に座り、崩れ落ちた城壁から城下を見下ろす人影が在った。
それが……歴代の中で最も公明正大にして、賢王と称えられた、現ボーレタリア王 オーラント。
「……謁見を求めに参りました……オーラント王よ……」
私は薄暗い王の間を進み、王へと歩み寄った。
オーラント王は無言で玉座から立ち上がると此方を振り返った。その背からは色の無い霧が湧き上がり、翼の様に拡がっている。鋭い眼光が射抜くように私を見据えていた。
私は怖気を覚えた。その姿には嘗ての面影が窺えない。感じる重圧は人の物とは思えなかった。
(王よ……貴方は一体―――!?)
次の瞬間、私は我が目を疑った。
一瞬腰を落とし、溜めの構えを見せた王の体が、いきなり間合いを詰めて迫って来たのだ。
走り寄ると言った生易しい速度では無い。それはまさに飛翔と言った方が正しい表現だ。
王の左手が、身構える事すら出来なかった私の首根を掴むと、信じられない事に、鎧を纏った私の身体を片腕で持ち上げた。右手に握られた風変わりな意匠を持つ剣の刀身がギラリと輝いている。
(そうか、これが“魔剣ソウルブランド”―――!)
抗う事も出来ない私の身体を、ソウルブランドが一方的に貫いた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

昇降機を降り、よろよろと回廊を進み、城の外へ脱出しようと階段を下った所で私の脚は力尽き膝を付いた。
私の身体を貫いた王の攻撃は、不思議な事に致命傷とはならなかった。
命からがら王の下から逃げ延びる事はできたが、もはや此処までか……。
ふと顔を上げると回廊の入り口に、逆光を背負った人影が立っていた。
その見慣れた姿を見て、私は苦笑いを浮かべる。
(四度目……君は私の危機に必ずやって来てくれる……でも、今度は間に合いませんでしたね……)
私の下に駆け寄り、介抱しようとする君の手を止めて私は言った。
「この上に王が居ます……いや、オーラント王の姿をした、ただのデーモンでしょうが……真意を問い、諌めようと、無謀な旅を続けてきましたが、独りよがりの茶番だったようです……お願いです、王を殺してください……あれはもう、人の世に仇なすものでしかありません」
私は鎧に付けられた皮鞄から鍵を取り出し、それを君に差し出した。
今更かもしれないが、最後にこの鍵を君に託そう……。
これは“霊廟の鍵”
ボーレタリア建国の祖にして、現在も生き続けていると伝えられる、古の王ドランを奉る墓所を開く鍵。
「……ボーレタリア霊廟の鍵です。霊廟には、王の剣、ソウルブランドと対をなすデモンブランドが祀られています……」
話しながら私は霊廟での出来事を思い出していた。
そう、あの時……君が赤眼の槍騎士を倒し、霊廟へ向かった時……私はこっそりと君の後を追いかけていたのだ。
霊廟を閉ざす扉に掛けられた鍵は、魔術的な作用が用いられているのか、如何な手段を用いようと開く事も破壊する事も出来ない。
諦めて引き返す君を物陰でやり過ごし、君が去ったのを見届けてから、私はこの鍵を用い霊廟の封印を解いた。
しかし、霊廟の中にはボーレタリア建国の開祖、ドランの姿は無かった。
伝説はやはり伝説……。
落胆し引き返そうとした私の耳に威厳のある男の声が響いた。
それこそが古の王ドラン。
姿を見せない彼に、私は力求めた。
善意を力に変え、魔を狩るデモンブランド。
悪意を力に変え、神と人に仇なすソウルブランド。
ボーレタリア王家の伝承に伝わる二振りの剣の力を―――!
ドランの声は私に語って聞かせた。
ソウルブランドは既にオーラント王が霊廟より持ち去り、そして旧き獣の眠りを解いたのだと……。
祖として現王の狂気を止められなかったのは自分の落ち度である。だからこそ、もう一方の聖剣デモンブランは、手にする者の実力を見定めなければならない。
我が試練を乗り越えた者にのみ、デモンブランドは託すと。
私は、その試練を授けてくれるようドランに請うた。
王が魔剣を手にしたなら尚更だ。対するには、もう一方の“聖剣デモンブランド”の力が必要だ。

「我が末よ……残念だが、お前にデモンブランドは使いこなせん……」

だが、ドランは無慈悲に告げる。

「お前は、この剣を託すに相応しい者を見定め、この場所に導くのだ……それがお前の役目だ」

それが使命……非力な私には似合いの役目……私の器か……。
私は認められなかったのだ。
自嘲めいた笑みが浮かぶ。
私には試練を受ける事は叶わなかったが、君なら……君ならドランの試練を乗り越え、あの剣を手にする事ができる筈だ。
悪魔を屠る者……“英雄”の資質を持つ君にならば!
最後に君に会えた事は運命だろう。
古の王ドランよ……私は自分の使命を果たしました……。
意識が遠のく……私の命ももはや此処まで……か……。
私は改めて君の顔を見上げた。逆光と朦朧として行く意識で君の顔が霞んで見える。
唇は空気を求める魚のように開くだけで、言葉を発する事はもはや出来ない。
(伝えきれませんでしたね)
口元に苦笑雑じりの弱弱しい笑みが浮かぶ。
私は本当は……君が……君の力が……君の存在が……。

―――妬ましかったのだ―――。

気が付くと、私は暗い回廊に立っていた。
何処かで見た事のある風景。背後には王の前と続く昇降機があり、細い回廊の脇は奈落に繋がる暗闇が広がっている。その回廊の先に光が見える。外界から入ってくる眩い陽光、その中に君が居る。
君の腕の中で看取られ、ソウルの輝きとなって私の身体が散華して逝く。
それが私の姿であるならば―――。
では今、此処に存在する私は何なのだ?
私は自らの身体を見下ろした。
黒く染まった自分の身体を燃え上がる焔の様に緋色のソウルが覆っている。
……ああ、そういう事か―――。
私は妙に納得していた。
やり残した事が有る……心残りな事が有る……だから私は踏み止まったのか。
今なら解る。
ドランが私にはソウルブランドを使いこなせないと言った理由が……彼は気付いていたのだ。私の魂の本質に……暗い炎を宿したソウルに……。
私に相応しかったのは、きっとオーラント王が手にした物と同じく、魔剣ソウルブランドなのだろう。
血脈とは怖い物だ……私の顔が暗い悦びに歪む。
だが今は感謝しよう。
その血のお陰で、私は再び君に逢う事が出来たのだから。

散華する私のソウルは、空中を漂った後、君の身体に吸い込まれる様に消えていった。
そうやって数多の悪魔からソウルを啜って力を得たのか……。
『救世の魔人』
笑わせてくれる。君の力は自らが屠ってきた悪魔その物ではないか!
立ち上がった君は王の間へ向かう回廊に眼を向け……そして私に気付いた。
その顔に驚きと困惑の表情が浮かんでいる。
そうだろう、君はそういう人だ。
悦びを押さえられずに私は哂った。
今こそ君に刻み付けよう、伝えられなかった私の想いを!
我が名はオストラヴァ!
ボーレタリアの王子にして神と人の敵!
君への嫉妬に燃える黒い亡霊(ファントム)!
さあ、戦おう……勝ち負け等はどうでも良い。最後の一瞬まで、私の存在を君に印す為に!
私はルーンソードを構えつつ、君に向かって駆け出した―――。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

この世界は悲劇なのだろうか……?
誰かが言っていた。
それを高らかに否定しよう。
「否、断じて違う! この悦びが、この昂ぶりが……悲劇であろう筈が無い!」

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【短編小説】Demon's Souls【読切SS】ガルと愉快な仲間達

【Demon's Souls ―悪魔の騎士 銀の誓い―】

ソウルの業と呼ばれる力で繁栄を得た北の大国ボーレタリア。
その国を支配する、賢王オーラント。
老境に至り、憂愁にとらわれた王は、更なる力を求め、最も旧き獣を呼び覚ました。
獣は色の無い濃霧と数多のデーモンを生み、ボーレタリアを蹂躙する。
そして禁忌に触れた王の業により、ボーレタリアと呼ばれた北方の大国は滅んだ。
今やボーレタリアは、悪魔の群れが跳梁跋扈する魔界と化している。

その、ボーレタリアの片隅に地図にも表記されていない谷がある。
ボーレタリア城下の排水と汚水、ストーンファング坑道から流れ出る廃液等……。
全ての澱みが流れ着く先、腐敗と汚物に塗れた、世界で最も不浄な穢れの集約地。
いつしか、その地は人々に“腐れ谷”と呼ばれるようになっていた。
霧の裂け目より、閉ざされたボーレタリアの内部に侵入した聖職者、“最も真摯な六番目の聖女”と謳われる聖女 アストラエアと、彼女の従者“暗銀の騎士 ガル・ヴィンランド”は、不浄なる忌み地、“腐れ谷”に疫病や障害により、人の世に見放され、追放された人々が留まっている事を知り、彼等を救済せんと彼の地を訪れた。
そこで二人が見た物は、癒える事の無い病と、デーモンにより奪われ、次第に希薄になっていくソウルの渇きに苦しむ異形と化した人々の姿だった。
彼等を救おうと、彼女は己が神に祈り、人々に救済を説くが、願えども、彼女が信じる神からの救いは訪れなかった。

「私達の神は……不浄に喘ぐ者達の願いを聞き届けてはくれませんでした……」

届かぬ祈り、死に逝く者が神を呪う怨嗟の声、弱者の嘆きを聞き入れぬ神に絶望し、聖女は嘆く。
そして、彼女は神を呪い、苦しむ人々から痛みと渇きを取り除く為に、神を捨て悪魔(デーモン)と化した。
悪魔となり、彼等からソウルを奪う事で、ソウルの渇望がもたらす痛みから解放する……。
不浄なこの地において、それだけが唯一つの救済の手段だったのだ。

彼女は今、不浄の只中で静謐に祈りを捧げている。
腐れ谷に集約する、あらゆる不浄も、彼女の神々しさを穢す事は出来ない。
いや、この不浄な世界だからこそ、彼女の真摯な清らかさは際立つと言えるだろう。
不意に彼女は瞳を開き、祈りを中断させた。
静かな世界を怯えのように震わす、侵入者の気配を感じ取ったのだ。
私は無言で立ち上がると、不浄の澱みの中に足を踏み入れ、かの者を迎え撃つ為に歩き出す。

「すみません、ガル・ヴィンランド……ご無事で」

私は彼女の言葉に無言で応えて歩き続ける。
私達の間に余計な言葉は不要だ。
言葉など無くとも、互いの意志は通じているのだから。

「戻ってください、デーモンを殺す者よ……ここは、神に捨てられた者たちが寄り添う場所です……あなたが奪うべき何物も、この地にはありません……お願いです。戻ってください」

歩を進める私の背中から儚い声が響き、不浄な深淵に広がる。
侵入者へ呼び掛ける彼女だが、その懇願に応える事無く、彼の者はにじり寄る。

「やはり、戻れはしないか……」

達観に近い想いで私は嘆息する。
デーモンを殺す者(スレイヤー・オブ・デーモン)。
その者が全身から発する気配は、尋常な人の物では無い。
数多のデーモンを屠り、その力を手に入れた証。
それは人の身で有りながら、人を超えた人外の化生。
彼女と等しく、悪魔のソウルに触れた者だと言うのに……貴様は……貴様は“魔を滅する者”を名乗るのか!?
真に崇高な使命を帯びた彼女を卑しめ、身内にすら悪魔と罵られる……彼女と同じような存在である筈の貴様は英雄だと言うのか!
不浄を受け入れ、最も不浄な存在となった彼女だが、清らかな想いは、“聖女”の名を少したりとも貶める物では無いというのに。
それを貴様は……貴様等は―――っ!
私の憤りが、筋違いな恨みだとは知っている。
自分達が得られなかった賞賛と、英雄への妬み、それらが生んだ歪んだ憎悪……。
全ては私の未熟さが生んだ、浅ましい感情だ。
だが、それは―――。

「……お願いです。戻ってください」

それでも彼女は乞い続ける。
破魔の戦士に戻れと願う。
それが例え、自分の命を奪いに来た者であれ、彼女は一切の者を傷付けるつもりはないだろう。
悪魔に身をやつそうとも、彼女の魂は間違いなく聖女の名に相応しい物なのだ。
ならば……悪魔と成りきれぬ貴女に代わり、私が悪魔となる。
殺せぬ貴女に代わり、貴女を脅かす全ての存在を殺す悪魔に!
卑しめの言葉は全て私が負う。
貴女は純潔な心のまま、崇高な理想を抱く、聖女であれば良い。
そう、私が……私こそが、デーモンだ! 貴女を守る為のデーモンなのだ!
妬み、羨望、憎悪……私の未熟さが生んだ、浅ましい感情。
だがそれこそ、今の私には相応しい!

『すみません、ガル・ヴィンランド……』

私を送り出す時の彼女の言葉が頭を過ぎる。
それは赦しを乞う、謝罪の言葉。
何を言うのです。
貴女が責任を感じる事は無いのです。
私は貴女を責めてはいないのだから……。
むしろ私は感謝しています。
この地に辿り着き、私は初めて自分の感情に素直になれた気がするのです。
自戒や規律や抑制を捨てて、今ならはっきりと言える、誓える!
“酷薄な神”や“悪魔”の為ではなく、貴女の為に闘えると……!

不浄の澱みを乗り越えて、魔を屠る悪鬼がゆっくりと近づいて来る。
だが、ここから先へは進ませない。
彼女の傍には一歩たりとも近付かせなはしない。

「どうしても彼女を害そうというのであれば、仕方ない……この地の底で腐り落ちるがいい」

全ての穢れが澱む、この不浄な世界の最奥で、聖女が放つソウルの光を反射し、暗銀の鎧が鈍く光る。
不浄な世界の中で、己の信念のように曇ることの無い銀の色。
悪魔の騎士はゆっくりと鎧を軋ませ身構えた―――。

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Phantasy Star Universe-L・O・V・E 【2-33】

ユエル    「PSPo2が発売決定ッスね!(゚∀゚)」
ヘイゼル   「ああ、聞く所によると、PSUとはガラッと変わる仕様らしいな(;´Д`)」
ユエル    「ぶっちゃけ、初めからPSUをこうしとけよ! って話しッスよね?(゚∀゚)」
ヘイゼル   「俺は大人だから何も言わん(;´Д`)」
ユエル    「このチキン野郎ッス! Σ(´Д`lll)」

PSO10周年って事で何やら動きがあるみたいッスね……。
これは期待して良いッスか!?
絶賛ニート中ッスから、今なら何だって歓迎ッスよ!(゚∀゚)

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--------- 再開 ----------

【L・O・V・E】 Scene-04 『死戦』

全身が痛む……耳鳴りがする……。

鈍痛の残る頭を上げ、周囲を確認する。

爆発によって舞い上がった砂煙は、未だ落ち着いてはいない。

と、すれば意識が途絶していたのは……数瞬か……。

全身を走る激痛を堪え身を起こす。

四肢は健在、生きている……この身体が動く限り、戦いは終わらない。

戦士は再び立ち上がった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

黒いユエルは銃口からフォトン粒子を燻らせるGRM社製榴弾銃『アスールファイア』をナノトランサーに収めた。
ヘイゼルの着地地点から予測した地点への爆撃は一通り終了した。計算が正しければ効果は認められる筈である。
彼女は崖渕に近寄ると、身を屈めそっと下の様子を伺った。3メートル程の高低差がある下の階層には榴弾の炸裂で出来た爆発痕が有り、周囲は舞い上がった砂煙で覆われ視界を遮っている。黒いユエルは瞳を忙しなく動かし、ヘイゼルの行方を追っていた。
ふと、砂煙の中に蠢く影を見止めた彼女は、転送したライフルを素早く構え影を狙撃した。
撃ち込んだ合計三発のフォトン光弾は全て影を貫き、黒いユエルはその感触に確かな手応えを感じていた。
薄れて行く砂煙の中から影が正体を現す。地面に突き立てられた槍の柄に括りつけられた、黒いドリズラージャケット。それには三つの弾痕が穿たれていた。
「フェイク……?」
騙された事に気付いた黒いユエルの耳に突然爆発音が轟く。反射的に地面に身を伏せ、警戒しつつ爆発の元に銃口を向けると、別の場所で再び爆発が起こった。銃口を彷徨わせながら事態を把握しようとするが、更なる爆発が彼女を惑わせる。
「時限式爆弾……?」

トラップ系アイテム 『ダメージトラップ』

文字通り爆発により目標にダメージを与える事が出来る、設置型時限式の小型爆弾である。
黒いユエルの分析通り、爆発はそれを利用した物と思われるが、爆発が起こった位置に規則性が窺えなかった。ヘイゼルが仕掛けた物の可能性は高いが、その目的が何なのか解らない。
彼の出方が解らない以上油断は出来ない。黒いユエルは地面に腹這いになりながら注意深く崖渕から下を見渡す。彼はまだ階下に潜んでいるのだろうか……?
爆発音の余韻に混って、低いフォトン・タービンの音がする事に気付いたのはその時だ。肩越しに振り返った黒いユエルの視界に小型のスクーターが猛スピードでこちらに近付いてくるのが映った。スクーターに跨っているのは……あの男(ヘイゼル・ディーン)!?
黒いユエルは自らの判断ミスに気付いた。あの爆発もフェイク……ジャケットの影と爆発に彼女が気を取られている間にヘイゼルは階層を移動し廻り込んでいたのだ。そして彼女が警戒をしている裏を掻き、乗ってきたスクーターの機動力を活かし彼女を強襲……爆発はスクーターのエンジン音を隠す目的もあったのだろう。
「おおおおおおおぉぉぉぉ―――ッ!」
ヘイゼルは雄叫びを上げながら、更にスピードを上げ黒いユエルに肉薄する。彼女は腹這いのまま、ライフルの銃口をヘイゼルに向け引き金を引いた。だが発射された光弾はスクーター本体が持つ、衝突時衝撃緩和用のシールドにより阻まれる。ヘイゼル自身もカウル部分に上体を隠し射線から逃れている。自爆覚悟の特攻……それを停めるにはこちらの火力が足りていない。
オーバードライブ射撃なら車体を守るシールド事貫けるかもしれないが、チャージに若干の時間が必要だ……間に合わない、防ぎきれない!
そう判断した黒いユエルは、その場を逃れるべく跳躍し起き上がった。緊急の為、限界値を超える稼動をした関節(アクチュエーション・モーター)と鋼線状人工筋肉(ワイヤード・マッスル)が悲鳴のように軋みを上げる。
「遅えッ!」
ヘイゼルが跨るスクーターが猛烈な加速度で黒いユエルに迫っていた。
白い少女の姿は浮かばない。
起き上がりかけた黒いユエル目掛けて車体を特攻させる寸前、ヘイゼルはスクーターから飛び降りた。しかし運動エネルギーに抗うことは出来ず、ヘイゼルは激しく地面を転げ回る。回避の間に合わなかった黒いユエルはまともにスクーターの激突を受け弾け飛び、車体ごと崖下に転落していった。
「……クッ……ソ……イテ……ェ……」
暫く動かなかったヘイゼルだったが、毒づきながらゆっくりと上半身を起こした。
シールド・ラインの反発力が地面に叩きつけられた衝撃を緩和したとは言え、受けたダメージは相当だ。痛みを堪えて立ち上がると、黒いユエルが落ちていった崖の段差まで左脚を引き釣り歩み寄った。自分もこの様子なら彼女も只では済むまい。崖下を覗くと、半壊したスクーターのエンジンが白い煙とフォトン粒子を噴き上げていた。
「やっちまった……な……モリガンに何て言い訳するか……」
痛みに顔を顰めながらヘイゼルは苦笑いをする。型は旧式とは言え、ビンテージ物で可也の値が付く彼女のお宝をジャンクにしてしまったのだ。バレれば只では済まないだろう。だが、今は黒いユエルの動向だ。彼女は一体どうなった?
見回すとスクーターの残骸から大分離れた所で彼女はうつ伏せに倒れていた。衝突の衝撃はかなりの物だったのだろう。その彼女の上体が僅かに動いた。
生きている……あれ程のダメージを受けて、まだ、あいつは活動可能だと言うのか!?

『身体が動く限り、戦いは終わらない』

それは、つい先程ヘイゼル自身が噛み締めた言葉……アイツも……未だ終わっていない!
「クソがぁぁぁぁあ―――ッ!」
ヘイゼルは怒声を上げ、崖を飛び降り黒いユエルの下に向かった。彼女は背後を振り返り、こちらを確認したがヘイゼルの存在に構わず這い進み続けている。
(逃げる? 戦う為に造られたマシナリーが逃げると言うのか!?)
ヘイゼルは知る良しも無かったが、彼女達に内蔵されたAフォトンリアクターは、遺跡(レリクス)で回収されたAフォトンリアクターと、現代の科学技術で製造可能なAフォトンリアクターを融合し完成した『ハイブリッド・Aフォトンリアクター』である。主要部分にロストテクノロジーの遺物を利用したジェネレーターは、その出自ゆえ絶対数が少なく、それを内蔵した彼女達の戦略目標はSEED殲滅の次に、H・AFリアクターを破壊する事無く帰還、自身が破損した場合は可能な限り敵勢力圏を逃れ、味方部隊が回収可能な場所まで離脱する事が優先されるのだ。
黒いユエルはスクーターとの衝突で人体で言う背骨部分(脊柱フレーム)に損傷を受けていた。加えて神経伝達にも支障を来たし、立ち上がる事はおろか脚部を動かす事もままならない。黒いユエルは優先事項に従い逃走の道を選択した。
ヘイゼルはドリズラージャケットを括り付けたフォトン・スピア『ムグングリ』を地面から引き抜き、黒いユエルに駆け寄った。彼女は最早、ヘイゼルの事等、気に留めず逃走し続けている。ヘイゼルは槍の柄を両手で握ると彼女に止めを刺すべく勢い良く振りかぶった。その瞬間、黒いユエルがクルリと身を翻し仰向けになった。その手には何時の間に転送したのか、ドラムライン(マシンガン)が握られていた。
「無駄だッ!」
ヘイゼルはマシンガンを握る黒いユエルの腕を蹴りつけた。彼女の手からすっぽ抜けた銃があらぬ方向へ飛んでいく。最後の奇襲も通じず、万策尽きた黒いユエルは無感情な瞳でヘイゼルを見上げる。彼はもう一度両手で握った槍を振りかぶり、その鋭い切っ先を彼女の胸元へ振り下ろした。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

生まれながらにして人は平等ではない。
だが一つだけ例外に与えられた平等がある。
それは、死……。
生きる事が権利ならば、死は総ての生物に対し、平等に約束された最後に果たすべき義務だ。
「……」
その死が、黒いユエルに訪れる事は無かった。
彼女は無機質な瞳で胸元ギリギリで止められた槍の切っ先と、ヘイゼルの顔を見比べている。
フォトンの切っ先は彼の苦悩を表す様に小刻みに震えていた。
結局、ヘイゼルは黒いユエルに止めを差す事が出来なかった。
ユエルを救う為に、今しなければならない事……それは解っている。
「解って……いるのに……!」
ヘイゼルは顔を顰めた。
その救いたい者の面影が、どうしても目の前の少女とだぶってしまう。
「クッ……! 行けよ……」
槍を引いたヘイゼルは視線を逸らし吐き捨てた。
「勝負は付いた。俺の勝ちだ……だから消えろ……俺達の前に二度と顔を見せるな」
身を翻したヘイゼルが見せた背中を、黒いユエルは一瞬見詰め、また直ぐに這いつくばって進み始めた。
この選択が何を齎すか、ヘイゼルには解らない。
(俺は……甘いのだろうか……)
ヘイゼルは自問する。
少し前の自分になら、こんな迷いは無かった筈である。
自分が変わったとするならば、それはあの雨の日……白い少女と出会ってからだ。
アイツの存在が俺を弱くしたとしても、それでも俺はアイツの為に今、戦わなければならない。
何故かは未だ解らなかったが……。

《続く》

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